授業・調査の様子17 文化遺産デザイン研修12
「京都の歴史を歩こう!2015 上賀茂編」準備編 第1回プレ遠足(2015.3 歴史学科上原 駿一)
2015年2月10日、京都府立大学文化遺産デザイン研修・「京都の歴史を歩こう!2015 上賀茂編」の
第1回プレ遠足が行われました。その模様をお伝えします。
第1回プレ遠足は、参加者の対象を歴史学科の学生に限定して行われました。参加してくださったのは、
前回の岡崎編の担当であった4回生と、2回生・3回生です。ガイドをする学生は9時30分、参加者は10時
に総合資料館の入口に集合しました。
参加者にパンフレットを配布した後、「上賀茂と軍隊」「鞍馬街道今昔」というテーマで説明が始ま
りました。ここでは、上賀茂に陸軍部隊を誘致する計画があったことと、鞍馬街道が物流や貴船への参
詣の拠点になっていたことが話されました。
写真 総合資料館前にて「上賀茂と軍隊」の説明
資料館前での説明を終えた後、ガイドが参加者に個別に付き、出発の準備を整えました。この際、ガ
イドが誰に付くのかを決めるのに時間がかかってしまい、出発が5分ほど遅れました。この点は反省会で
も指摘され、今後の課題となっていきます。
写真 北山通をガイドしながら案内する
資料館から北山通を北上し、一行は穂根束公園に到着しました。ここでは、「すぐき発祥の碑」があ
ることから、すぐきが出来る工程をipadに入れておいたイラストを使いつつ説明されました。また、穂
根束公園はもともと「骨塚」と書かれた地域にあるということから、上賀茂の地名の説明もされました。
写真 「すぐき発祥の碑」周辺ですぐきに関する説明
穂根束公園での説明が終わると、次の目的地である人形の祠まで歩くことになります。その間も、上
賀茂についてガイドが学んできたことを参加者に伝えつつ進んでいきました。
人形の祠は、「夜泣きの神様」とよばれ信仰があった場所です。子供の出来なかった夫婦に早生まれ
の子供が授かりましたが、当時は早生まれという考え方が合理的に理解されていなかったため姑が嫁を
疑い、嫁が悲しみのあまり井戸に身を投げて亡くなったという言い伝えが残っています。この説明に興
味を持って聞く参加者が多かったです。
写真 人形の祠の伝承を説明
次の目的地は、上賀茂神社の境外摂社である大田神社です。大田神社までの道は、道幅が狭い割に交
通量が多く、慎重に横断歩道を渡ることが重要になりました。
大田神社では、古くより和歌に詠まれたカキツバタや、祭神についての説明がありました。
写真 大田神社鳥居前にて祭神の説明
ここで10分休憩をはさみ、大田神社の中で興味のあるポイントを見つけた方は各自その場所へ行き散
策されました。大田の小径やカキツバタ群落など、自然豊かなスポットへ移動する方が多いように見受
けられました。
その後、北大路魯山人の碑の前で、上賀茂の社家に生まれた文化人・魯山人と上賀茂の関わりを説明
しました。説明を終えた後、一行は社家町をめざし歩き出しました。
大田神社から北大路町を進み、左折して突き当りの辻を右折すると、藤木神社に出ます。この神社は
上賀茂神社の末社で、大きなクスノキが特色です。ここで社家町と明神川、上賀茂神社と寺院の説明を
しました。
写真 藤木神社にて明神川の説明
藤木神社から、伝統的建造物群保存地区(伝建地区)である社家町に入ります。ここから最終目的地
である上賀茂神社の駐輪所まで、ガイドが案内しつつ進みました。
上賀茂神社の駐輪所では、古代の賀茂氏族や競馬などの儀礼についての説明が行われました。そして
ここですべての説明を終え、12時10分頃解散しました。
大学に戻り、13時30分から反省会が開かれました。ここで前回の経験者として4回生から意見を頂きま
した。その一例は次のようなものです。「交通整理ができておらず、参加者の安全について事前に話し
合う必要がある」「ガイドが一方的に知識を伝えるだけで、参加者が受け身になってしまう」「伝える
知識が関連していないので、結局何を言いたいのか、どこまで分かってほしいのかが理解できない」
この指摘を受け、交通整理に関しては最前列・真ん中・最後尾の3ヶ所に一人ずつ配置し、マイクなど
で車両の接近を警戒することが決められました。また、参加者が参加できるように、クイズや紙芝居な
どで興味を引き付ける方法を採ることを確認しました。知識を関連付けることについては、「統一テー
マ」を設定する事を決めました。後日行われた話し合いでは、上賀茂は賀茂川支流の明神川を農業や神
事に用いて発展したことや、京都近郊に位置することで人の交流が活発になり、外からの文化を吸収す
るきっかけになったという史実が確認されました。この事から、統一テーマを「水と近郊のまち・上賀
茂」とすることで合意し、次回のプレ遠足、3月14日の本番に活かすことを目標としました。