授業・調査の様子18 文化遺産デザイン研修13

 「京都の歴史を歩こう!2015 上賀茂編」準備編 第2回プレ遠足(2015.3 歴史学科上原 駿一)



  2015年2月24日、「京都の歴史を歩こう!2015 上賀茂編」の第2回プレ遠足が行われました。このプレ
遠足では、前回(2月10日)の結果出された参加者やガイド担当の学生自身の反省を踏まえ、それを実践
することが目標として掲げられました。以下、その模様をお伝えします。

 第2回プレ遠足は、参加者の対象を歴史学科の学生に拡大して行われました。また、前回では参加者
だった2回生のうち、次回のデザイン研修の主体となる学生はガイドとして参加者に付き、経験を積む
ことになりました。そして学生をサポートするため、共催者である京都府立総合資料館から職員の方
が参加者として加わって下さり、意見を頂くことにしました。府立大学の学生では、歴史学科のほか
森林学科の方が参加してくださったことが印象的でした。集合時間・場所は前回と同じです。

 午前10時、職員の方からあいさつを頂いたあとで、ガイドを振り分けました。前回はこの段階で時
間をかけすぎたため、反省を生かして1人が担当を発表するという方式をとりました。そのため、振り
分けはスムーズでした。参加者が確定すると、総合資料館前で説明が始まりました。ここでの説明内
容は「上賀茂と軍隊」「鞍馬街道今昔」で、前回と比べ大きな変化はありませんでした。

 説明が終わると、ガイドが担当の方に個別に鞍馬街道について解説しつつ、北山通を北上して穂根
束公園まで向かいました。

 穂根束公園では、すぐきができる工程と、上賀茂の町名について説明がありました。すぐきの工程
については、前回行っていたiPadでイラストを見せる方法から、紙芝居形式で工程を見てもらう方法
を採りました。iPad自体の大きさが小さく、日差しの当たり具合では参加者が見られないことがある
という意見が出たためです。そこで、24日のプレ遠足以降はiPadを補助として使うことになりました。

 また、町名に関しては、スケッチブックに図を描くことで、視覚的に地名の移り変わりを理解してい
ただくことにしました。










写真 紙芝居ですぐきの工程を説明









写真 スケッチブックを使った地名の説明

 穂根束公園を出て大田神社へ向かう途中で、上賀茂ならではのハプニングが起きました。「さんや れ祭り」の一行と鉢合わせしたのです。「さんやれ祭り」は毎年2月24日に行われる上賀茂の伝統行 事で、15歳になった男子の祝祭なのですが、まさに祭りの最中に遭遇したわけです。道路が使えず、 説明よりも祭りに目が向くということはありましたが、生のお祭りを見ることが出来たのは貴重な経 験でした。







写真 祭りの一行を見る









写真 説明そっちのけで祭りを鑑賞

 祭りの関係で、前回と異なり北大路魯山人の碑の前での説明のあと、大田神社での説明をしました。 どちらでもスケッチブックを利用し、写真や絵を貼って大田神社の祭神や魯山人と上賀茂の関わりを 視覚的に伝える工夫を施しました。  大田神社の説明のあと、「さんやれ祭り」の一行が先行して上賀茂神社へ向かったことを確認して 藤木神社まで歩きました。その間、ガイドは「さんやれ祭り」以外の上賀茂の伝統行事など、生の祭 りの現場でしか味わえない臨場感を生かして説明していきました。  藤木神社では、社家町と明神川のかかわりという視点から、社家の庭で飼われていた魚についてク イズを出題しました。後になって、歴史的に見た川と社家町の関係が分かるような問題にすべきとい う反省点が出ました。







写真 藤木神社にてクイズを出題

 最終目的地の上賀茂神社では、前回同様、古代の賀茂氏族と祭祀について説明がありました。ここ では賀茂一族が代々特定の名を受け継ぎ、名字よりもその名が重視されるということが重点的に説明 されました。ここで全体の説明を終え、12時30分頃解散しました。  参加者に意見をうかがったところ、「歴史用語の説明がないまま進められた」「ポイント間での会 話が途切れてしまった」「ガイドのテンションが低い」という意見が多くを占めました。また、オブ ザーバーとして参加してくださった総合資料館にも意見を求めました。 後日資料館からいただいた指摘は、以下のようなものです。「本番の参加人数次第で聞き取りづらく、 見えないおそれがある」「知識を取り込む=勉強はできているが、伝える工夫が必要」「自分たちに は当たり前な歴史用語を、一般の人が分かる言葉に」「水というテーマから離れた説明が多い」。  聞き取りづらさや見えづらさについては、拡声器やピンマイクなどの備品を整えることで対応する ことにしました。また、あとの3点は互いに関連する重要な指摘です。一番伝えたいポイントを絞り、 統一テーマに沿った、分かりやすく興味を惹くような解説が必要ということです。頂いた指摘をもと に、再度上賀茂の歴史について調べ直し、一般の方が地域の過去と現在をつながりのあるものとして 理解していただけるような解説をすることを確認し、2度のプレ遠足を終えました。