授業・調査の様子4
本ずづくりプロジェクト 2.ヨシ刈り体験(2013.1 歴史学科 島本多敬・宮崎浩史朗)
2013年1月20日(日)10:00〜14:30
京都府立総合資料館・国際京都学センター主催
「本ずづくりプロジェクト 2.ヨシ刈り体験」
京都府立総合資料館・国際京都学センターが主催する「本ずづくりプロジェクト」のひとつ、ヨシ刈り体験に、地理学実習の
授業の一環で島本と宮崎の2人が参加しました(天候不順により日程が変更となったため、上杉先生はやむを得ず欠席)。
本ず栽培とは、春先、お茶の新芽がでる頃に、よしず(よしを編んだもの)と稲わらで茶畑を覆い、一定期間直射日光を遮っ
て育てる手法で、宇治市域で400年以上続くとされるお茶の伝統的な栽培方法です。本ず栽培で作られた茶は輾茶(抹茶の原料)
や玉露となります。この本ず栽培などの独特の生業が評価され、宇治市の一角は「宇治の文化的景観」として重要文化的景観に
選定されています。
ヨシ刈りの会場は西の湖(琵琶湖の内湖)沿岸の白王地区ですが、こちらも「近江八幡の水郷」として重要文化的景観に選定さ
れている場所です。
白王地区の「鳰の湖会館」で事前説明を受けた後、
船に乗ってヨシ刈りの場所に向かいました。西の
湖を船で移動するというのも水郷の里ならではの
貴重な経験でした。
船で現地に移動している様子
残雪と繁茂した雑草に悪戦苦闘しながらヨシを刈り
ます。慣れない鎌の扱いにもはじめは苦労しました
が、時間がたつにつれ体も温まってくると、作業に
のめり込んでいきました。
作業の様子
参加していた小学生の女の子も、初めてのヨシ刈りを楽しんでおり、別の参加者の男性は、「慣れてきて鎌がスッと入るように
なると気持ちいい」と言っておられました。刈り取ったヨシは、作業場の中心の日が当たるところに集めます。そこで「丸立て」
という円錐の形に立てかけて、2〜3週間かけて乾燥させます。
このヨシ刈り体験は、宇治茶の生産拠点として重要文化的景観に選定されている宇治と、ヨシが特徴的な景観地として重要文化
的景観に選定された近江八幡とを繋ぐイベントでもありました。実際に作業を行ってみて、その大変さから、ヨシを利用した生
業を守っていく難しさを実感しました。ヨシの刈り取り・利用が消滅すると、宇治の本ずだけでなく、ヨシを利用した茅葺き屋
根など、様々な文化財にも影響を及ぼします。文化的景観、それをつくりだす生業を維持するために何ができるのか、課題が新
たに見つかる一日でした。