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授業をのぞいてみよう 何を学べる?なぜ学ぶ?

生命分子化学科の主な授業科目

講義科目
基礎化学Ⅰ 原子と分子の構造を学び、化学反応の速度に関する理論を身につける
基礎化学Ⅱ 有機分子の形と結合の形成を学んで有機化学の基本を身につける
物理化学 分子と電子のエネルギーを計算する方法や最新の測定技術を学ぶ
生物物理化学 タンパク質など生体分子の構造や機能、その解析手法について学ぶ
有機化学Ⅰ 代表的な有機化学反応のメカニズムをその背景理由から一つ一つ学ぶ
有機化学Ⅱ 有機化学の理論を理解し、最重要反応のメカニズムを書けるように学ぶ
生化学I タンパク質・糖・脂質・核酸の構造を化学的・物理的に理解する
生化学II 生命を支える細胞内の化学反応のネットワーク「代謝」について学ぶ
応用微生物学 微生物ないしは微生物の産物を、実生活にいかに利用しているか学ぶ
環境生物学 遺伝学・生化学・免疫学から細胞や微生物の適応・防御機構を学ぶ
分析化学 物質の組成・濃度・存在状態の解明に必要な概念と具体的な方法を学ぶ
地球環境学 大気・水・土壌について理解し、地球環境問題とその対処法を学ぶ
実験科目
基礎実験 物理、化学、生物の基本的な実験を通して科学の方法論を身につける
生命分子化学実験 講義で学んだ知識を統合・再構成して実戦力に進化させる

講義科目

基礎化学Ⅰ(担当:石田)

この科目は入学後最初に学ぶ基盤科目の一つで、これから先に学ぶ多くの専門科目で必要になる基礎理論や知識を身につけるための非常に重要な科目です。

高校の化学では、原子の周りには決まった数だけ電子が入れる軌道がある、原子と原子は電子を一個ずつ出し合って共有結合を作る、分子と分子の間にはファンデアワールス力が働く、といったことを学びますね。しかし、習ったはずのことでも注意深くみてみると実はよくわかっていないことが沢山あることに気付きます。

例えば、K殻やL殻の中に入れる電子はどうしてあのような数に決まっているのでしょう?

分子の中で共有結合している原子同士が、どうしてその結合を切って別の分子と反応できるのでしょう?

ファンデアワールス力って一体どうやって生じるのでしょう?

そういった基本的なことを理論や数式を使って一つ一つ根底から勉強し直します。また、解離定数や反応速度や活性化エネルギーなどに関するさまざまな理論をマスターすることで、観測した結果を正確に分析・評価したり、未知の条件での分子の挙動や反応を予測したりできるようにします。つまり、高校の化学では触れられていなかった、化学の本質を理解するわけですね。

「基礎化学」という名前ですが、実は簡単という意味ではありません。それどころか、高校の化学とは勉強の方法そのものが全く異なるので、高校生の勉強のやり方をそのまま続けていると非常に難しく感じられる厳しい科目です。逆に、「大学生の勉強」ができるようになればたいしたことはありません。
したがって、考え方と勉強法を完全に切り替える必要があります。

つまり、この科目は高校生から大学生に生まれ変わるための通過儀礼という側面を持っています。
担当教員は教科内容を教えるだけではなく、学生が自ら大学生として生まれ変わることを支援する重要な役割を果たすべく、丁寧な指導を行います。

基礎化学Ⅱ(担当:椿)

高校の化学の授業では、有機化学は最後の方に出てきて、とにかく暗記、暗記、丸暗記を強いられる科目ではないでしょうか?しかし有機化学を貫く原理・原則を理解すれば、丸暗記もそんなに必要はありません。しかもありがたいことに、原理・原則の数はそう多くはありません。

基礎化学Ⅱでは「どうせ覚えるなら反応を覚えるのではなく、理屈を覚えよう!」を合言葉に有機化学を基礎から学んでいきます。高校の化学では、例えばカルボン酸とアルコールが酸の存在下、エステルを与えることを学びます。その際、カルボン酸側から OH が、アルコール側から H が抜けると覚えます。しかし反応の理屈を理解すれば、当然そうなることが予測できます。また我々の体の中で起こっている様々な化学反応を有機化学的な観点から眺めれば、より深く理解することも可能です。

一回生の後期に開講されるこの授業の内容は、二回生以降の授業を理解するうえでの基礎となります。「案外、有機化学って面白いじゃないか!」と思えるような授業を作り上げたいと思っています。

物理化学(担当:石田)

原子の構造や分子の性質、化学反応の起こり方に関する基本的な理論は基礎化学Iで一応学びました。しかし、大学で研究している最新の化学や生物化学の内容を理解して実際の研究活動に参加するにはまだまだ不十分です。そこで、この講義では、分子の持つエネルギーに関する理論と、分子の形や反応しやすさといった性質をコンピュータで計算する方法を中心に、いよいよ本格的な大学の化学の勉強に取り組みます。

分子の持つエネルギーに関する理論は統計力学とよばれる学問で、高校の数学で習った二項分布からスタートします。数式が沢山出てくるので最初はちょっとまごつきますが、一旦理解できると、高校の化学とは違って非常にクリアな結果が数字で出せるようになるので俄然楽しくなってきます。

たとえば、高校で習ったシクロヘキサンのいす型と舟型の比率を簡単に正確に求めることができます(皆さんの予想とは全然違いますよ)。この勉強はもちろん、将来研究することになるタンパク質のような複雑な分子の動きを理解するための基礎になるわけです。また、分子の形や反応しやすさをコンピュータで計算できれば、わざわざ実験をしなくても生成物の構造や性質を予測することができます。目標となる性質をもつ化合物が得られるような条件をとことん選び抜いた後で実際の反応を行えば無駄がありません。現在の薬の開発では不可欠になっている、このような方法の基本をこの講義で学ぶのです。

さらに、生化学の研究では欠かせない蛍光タンパク質や蛍光標識試薬を使うために必要な分光理論と装置に関する知識、原子間力顕微鏡や電子顕微鏡に関する知識など、最新の計測技術についても身につけます。

この科目で学んだ理論や知識は後に続く専門の実験で実体験することでより確固とした実戦力になっていきます。化学や生物を目指す人達は時として数学や物理を軽視しがちですが、上述のように、最新の化学や生物学では分子一個を取り扱うことが普通になっていて、そのためにはどうしても物理学と数学の力を借りなければなりません。

このような状況をよく理解して、高校の時から数学や物理の基本をしっかり固めておくよう心掛けましょう。

生物物理化学(担当:織田)

生命現象を理解し、生命科学の研究を行う上で必要な基礎的な事柄を学びます。

主に3回生を対象としますが、2回生までで学んだ物理化学や生化学など、さらに基礎的な学習内容を踏まえ、これから研究室に入って、「さあ研究するぞ」という時期の前に、生物、物理、化学の、基礎的な内容を復習しながら、散逸しがちだった個々の内容を系統的に見直します。

例えば、分子と分子の結合が強い、とはどういうことでしょうか?どう表現できるのでしょうか?細胞表面にある受容体に外から入ってくるリガンドが結合し、その情報が細胞内に伝えられます。

この情報を伝えるには結合の強さが影響するのでしょうか?あるいは別の結合要因が影響するのでしょうか?また有機化学でも種々の方法(機器分析)で分子の構造を決定します。

最新装置はいずれも便利で、何も知らなくてもデータが出てきます。でもその装置の原理を知らないと、不思議なデータの解釈や、装置の故障時(故障したか否かもわからない時)には、とたんにお手上げになってしまいます。そうならないよう、生物物理化学の基礎的、かつ専門的な内容を学びます。

有機化学Ⅰ (担当:椿)

基礎化学Ⅱで勉強したことを踏まえて、さらに深く有機化学を理解していきます。基礎化学Ⅱでも貫いた、「どうせ覚えるなら反応を覚えるのではなく、理屈を覚えよう!」を合言葉は変わりません。2年生の前期から始まる有機化学1では教科書も上下二冊の本格的なものを使用します。この教科書は、2年生で学ぶ「有機化学1」と「有機化学2」、3年生で学ぶ「有機機能物質化学」と「有機合成化学」で使用し、網羅的に学習できるように学習計画されています。

「有機化学1」の内容は、二回生後期以降の授業を理解するうえでの基礎となります。「やっぱり、有機化学って面白いじゃないか!」と思えるような授業を作り上げたいと思っています。

有機化学Ⅱ (担当:今吉 )

有機化学Ⅱ では化学の最重要反応を学びながら、「曲がった矢印を自分で自在に書けるようになる事」を一番の目標とします。

理論的に矢印を書けるようになれば、一見たくさんある様に思える反応でも実はその種類は多くない事に気付き、反応を一気に体系的に理解できるようになります。また、矢印を理論的に書く事ができると、初めて見る反応でも自然と生成物に行き着けるようになります。つまり、暗記せずとも、曲がった矢印を書く事で、有機化学反応を理解できるのです。

授業では、理論的に矢印を書くために必須となる基礎の考え方を学びます。矢印を書くという事は、どのように電子が流れていくか、どのように軌道が相互作用するかを知る事です。分子を見た時に、電子分布や軌道の立体的な配置を想像できるようになり、その反応性を (覚えるのではなく) 理屈で考えられるように学びます。

皆さんには、授業で教わる理論をしっかりと理解して頂くのは勿論のこと、授業後に自分で実際に手を動かして問題を解きながら反応の矢印を書いて頂きたいと思います。自分で矢印を書く事ではじめて、授業で習った理論が実践的に身に付き、真に理論を理解する事ができるからです。授業・演習を通じて、反応を考える面白さを味わいましょう。

生化学Ⅰ(担当:高野)

1回生の前期には「基礎化学I」で化学の基礎というものを学びました。後期には、生物の基礎ともいえる「生化学I」を学びます。生化学とは、生命を分子レベルで学ぶ学問です。「生化学I」はその第一歩です。主に、タンパク質・糖・脂質・核酸などの主要な生体物質の構造を化学的かつ物理的に理解することに取り組みます。

また、皆さんはこれまで試験などで、しっかりと答えのある問題を解いてきました。しかし社会において新しいことに挑む場合、答えがあるかどうかわからなかったり、答えが複数ある課題を設けて取り組まなければなりません。
生物も、進化・淘汰を経た歴史を含み、微妙なバランスで生命活動を維持し、さらに種々の倫理問題を含むなど、数学や物理学でのしっかりした公式や理論、解答とは異なる“あいまいさ”や“謎”、“不条理”“非効率性”を携えています。

講義では、学習内容に関連したこうした答えがあるかどうかわからない問題についても考えてもらいます。

生化学Ⅱ(担当:佐野)

本講義では生物の「代謝」について学びます。

生物は、細胞や組織の維持、成長、増殖のために必要な化合物を細胞内で合成しています。また、大きな分子を壊して、小さな分子にすることによって、生命活動に必要なエネルギーを取り出しています。このような、生きている細胞で行われる化学反応のネットワーク全体のことを「代謝」と呼びます。「生化学I」で学ぶような様々な生体物質は代謝の過程で生成します。

代謝は、多様な酵素の触媒する化学反応が次々と連なって起こることで進められます。これらの反応はネットワークのように繋がって代謝経路を構成しています。代謝を理解するためは、これらの酵素の性質を知ることも大切です。 そこで、代謝のうち主なものを取り上げて、それぞれの反応ステップにどのような化合物や酵素が関わっているのか、またどのように反応が制御されているかについて解説します。特に細胞内のエネルギーの獲得や蓄積に関する代謝系を重点的に学びます。

本講義は、これ以降の生化学系講義を理解する上で必要な基礎的な内容になります。 

応用微生物学 (担当:渡部 )

3回生は、1−2回生での講義・実験を通じて、各自の科(化)学についての基礎力・応用力が確実に着いてきています。これらの基礎力を用いて、応用力をもっと伸ばしていくため、この講義では、微生物ないしは微生物が作る有機物(酵素タンパク質や代謝物など)の利用に焦点をあてて、歴史に培われた発酵食品から、実際に近年微生物が関わって商品化されたものなどを取り上げ、科(化)学的な洞察を加えていきます。そこでは、生化学、分子生物学、遺伝学、遺伝子工学の最新技術を駆使したカレントな研究そして現実的な問題点なども共に解説していきます。最終的には、バイオテクノロジーの中で、応用微生物学が担ってきたこれまでそして今後の重要な役割を理解することを目指します。複合的な内容ですから、1,2回生で配当される発酵生理学、有機化学、生化学等の科目を履修してから受講することを望みますし、これらを履修して専門に進む大学生だからこそ面白いと思える講義です。他の学科からの受講者も多い科目です。

環境生物学(担当:辻本)

生物(細胞)を取り巻く環境に対する適応・防御システムを化学的にまたは分子レベルで理解しようとするのが本講義の目的です。

生物(細胞)が地球上に出現して以来、生物(細胞)は常に様々な自然環境に晒されてきており、それらは、多種多様な環境変化に対する適応・防御システムを進化・発達させてきました。特に、栄養獲得機構や生体異物・病原因子に対するシステムなどは高度に制御されています。それらの生物(細胞)の適応・防御システムを理解するためには、個体レベルだけでなく、分子レベルで理解することが不可欠です。

本講義では、環境に関する分子生物学、遺伝学、生化学、免疫学の基礎的事項を学ぶとともに、現代科学における倫理問題などついても議論します。

<具体的な主な内容を以下に記します>

  1. 生物進化の観点からみる代謝化学
    1. 進化は栄養をより効率的に獲得するためであるという側面があります。従って、生物の分類は、栄養代謝経路の分類にもなります。物質の化学的性質を理解しながら、生物進化と代謝経路を学びます。
  2. 地球環境における微生物の役割・機能
    1. 食物連鎖の中では、微生物は「分解者」として理解されていますが、微生物にはそれ以外の様々な役割・機能を持っています。それら微生物の役割・機能を化学的に理解します。
  3. 病気を引き起こす微生物
    1. 食品の保存方法はどうするべきか? 感染症に対するためにどうすれば良いのか? 体の中に入った微生物にどのようにして対処するのか? 抗原、抗体ってなに? 抗体はどうやって作られるのか? 抗生物質や多剤耐性菌ってなに? など、免疫や化学療法について学びます。

分析化学(担当:矢内)

化学研究は、研究対象を構成する物質の組成・濃度・存在状態の解明から始まるが、その組成・濃度・存在状態を解明する技術が化学分析であり、その化学分析の原理と方法を追究する化学の一分野が分析化学である。多くのの化学研究は化学分析を実際に行って進めていくため、分析化学は全ての化学研究の基礎となると言っても過言ではない。

分析化学の範囲は広く、古典的な化学分析法から高度な機器を駆使する機器分析法まで含まれる。最近は機器分析法が化学分析の主流になっているが、機器分析法の基礎は古典的な基礎理論であることを考慮して、本講では分析化学の基礎理論を中心に解説する。

すなわち、分析化学の基礎概念、溶液濃度と化学平衡、酸塩基平衡と酸塩基滴定、沈殿平衡と沈殿滴定法、錯形成平衡とキレート滴定、酸化還元平衡と滴定法、溶媒抽出法、イオン交換分析法、pHの理論と測定、吸光分析法と原子スペクトル分析法、クロマトグラフ法とX線分析法、分析データの解析法などを論じる。

この講義を通じて、化学分析の基礎を十分に理解して欲しい。

地球環境学(担当:中尾)

地球環境問題とは、人間活動の結果として人間社会や自然生態系にはね返ってくるマイナスの影響のことです。多くの問題は、空間的、時間的に大きな広がりを持つため、容易には解決することができません。また、因果関係が複雑であるため、どの人間活動が、いつ地球のどの場所にどのような影響を及ぼすのかを見極めることは、非常に難しいです。産業革命の原動力となった化石燃料が地球温暖化を引き起こし、「夢の物質」と呼ばれ世界中に普及したフロンがオゾン層の破壊をもたらしたように、人類は地球環境問題に対して常に後手を踏んできました。しかし近年では、グリーンケミストリー(環境に優しい合成化学)の考え方が普及しつつあり、化学者にも「環境負荷の小さい物質」とは何か、を理解した上でのものづくりが強く求められるようになってきています。

そこで本講義では、まず地球環境のそもそもの姿を理解するために、大気・水・土壌という地球環境の重要な構成要素について概説します。続いて、人間活動に伴う、それら要素の化学物質による汚染の実態とメカニズムについて多面的に論述します。一連の講義を通じて、受講生それぞれが地球環境についての基本的な知見を得るとともに、地球環境問題についても自ら考えるだけの力を養うことを目標としています。

本講義は、環境問題の背景にある化学反応プロセスの説明や、化学物質の環境挙動を追跡するための分析化学的手法の説明を中心に進めていきますので、皆さんは高校の化学および大学入学後に学ぶ基礎化学Iをよく理解しておいてください。土壌環境学および分析化学などの知識も本講義の内容を理解するうえで役立ちます。また、高校地学の基礎をおさえておくこともお勧めします。

実験科目

生命分子化学科では、実験科目を重視し、充実させています。
1年次に履修する基礎実験に続き、2年次には1科目、3年次には3科目の実験科目を履修し、最終の4年次には、必修科目として、専攻科目実験及び卒業論文を仕上げます。

基礎実験(物理学実験、化学実験、生物学実験)(担当:3学科教員)

本学の入試の理科は2科目なので、物理や生物を選択しなかった人はどうしてもその科目の内容が手薄になってしまいます。そこで、生命分子化学科、農学生命科学科、森林科学科の3学科では化学、物理、生物について、実験を通して基礎を学ぶことで高校理科から大学教育へスムーズに移行できるような基礎実験を共同して行っています。

高校ではほとんど実験させてもらえなかったという人も少なくないので、この基礎実験によって、実験の背景となる理論を学ぶとともに、実験操作や測定・観察法、データ処理やレポートの書き方といった実験科学の基本を身につけることができます。受講者は数名のグループに分かれて物理、化学、生物の一連の課題に取り組んでいきます。

生命分子化学実験Ⅰ (担当:石田、石嶌)

2年次に履修する生命分子化学実験Iは、研究活動参加への第一歩となる専門実験です。

1年次に履修した物理学実験、化学実験、および生物学実験で学んだ知識と技術を基本として、化学と生化学の基礎的な実験を行います。講義で学んだ知識と技術を実体験することで理解を深め、より専門性の高い後続の実験に備えます。実験は前半と後半に分かれていて、前半は物理化学、後半は生化学の課題です。

前半の課題では装置を自分の手で作って測定することを基本としています。なぜこんなことをさせるかというと、研究室には測定装置が沢山ありますが、その中身を全く知らないまま使っていると、測定限界に近い高度な測定が必要になった時に対処できないからです。そこで、研究室で最もよく使われる分光光度計と蛍光光度計を簡単な電子回路を組んで自作し、同じ試料を測定して市販の装置と性能を比べてみます。また、旋光計やマイクロ流体デバイス、タンパク質・DNAマイクロアレイのような最先端機器も自分で作ってみます。
このような実験を行っている大学は他にはありません。

後半の実験ではタンパク質や酵素の性質と機能を明らかにするという、バイオ研究で最も重要な基本技術を身につけます。最初にタンパク質の構成要素であるアミノ酸の性質を溶解度とpH測定から理解します。次に動物由来の酵素を抽出します。得られた酵素を電気泳動で分離し、活性を測定して、動物器官における酵素の比較をします。最後に、糖の定量と基礎化学Ⅰ とタンパク質化学で学んだ酵素反応の速度論についての実験を行います。

これまでは紙の上だけの勉強だったことが、実際に自らの手で一つ一つ体現されていく過程は大きな喜びです。実験もレポートも相当な負担ですが、終わった時の達成感は非常に大きく「これでやっと大学生になれた感じがする」という声が聞かれます。

生命分子化学実験Ⅱ (担当:渡部、佐野、辻本)

「微生物学」と「分子生物学」の基礎実験に焦点をあてた実験であり、この2分野は、「生化学I、II」、「発酵生理学」、「応用微生物学」、「遺伝子工学」などの講義内容と密接に関係しています。

本実験では、まず、培地の調製、微生物(細菌、酵母、カビ)の培養、コロニーの肉眼観察や細胞の顕微鏡観察によって、微生物を取り扱う無菌操作や微生物の形態的特徴を学びます。また、各自で自然界からプロテアーゼを生産する細菌を探索・単離し、その細菌の生産するプロテアーゼの活性測定を行います。また、その細菌を簡易同定するために、コロニーや細胞の形態観察や細胞壁の構造の違いを識別できるグラム染色を行ったり、各種酵素の有無などを調査します。

さらに、植物の遺伝子を組み込んだプラスミドを保持する大腸菌からプラスミドDNAを単離したり、植物からゲノムDNAを単離したりします。それらのDNAを用いて、制限酵素地図の作成や、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)によるDNA断片の増幅を行います。これらの分析のために電気泳動法を用います。

生命分子化学実験Ⅲ(担当:椿、今吉、沼田)

「有機化学Ⅰ、Ⅱ」、「合成化学」、「機器分析学」などの講義で、有機化合物の合成や構造決定などに関する理論を学びました。しかしながら、教科書に書かれていることを再現するためには、実験技術の習得が必要となります。本実験では、基礎的な有機化学実験を通して、実際に化学物質や実験器具・装置に触れ、それらの性質や取り扱い方法や使用方法を学ぶことを目標にしています。

具体的には、有機化合物を合成し、その過程で抽出や再結晶などの有機化学実験における基本操作を習得します。また、合成した化合物の赤外吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)などの機器分析を通して、構造解析の基本を学びます。さらには、分子間に働く弱い結合を利用し、分子を集合させる実験も行っています。
これらの実験を通じ、有機化学実験に関する幅広い知識や技術の習得と応用力の練成を目指します。

生命分子化学実験Ⅳ(担当:矢内、中尾、高野、織田)

「無機分析化学」「環境化学」「タンパク質科学」の課題を通して、物理化学的な手法により分析・定量する実験を行う。

無機分析化学

無機分析は全ての分析の基礎となるものです。本実験では、銅を各種方法で分析することにより、無機分析の基本的操作と考え方を習得します。すなわち、標準溶液の調製や標定、キレート滴定法や蛍光X線分析法、溶媒抽出法、吸光光度法などを学びます。

環境化学

陸域環境の基盤である環境水と土壌の分析を例に、環境化学分析を実習します。具体的には、水の分析としてはpH、電気伝導度、化学的酸素要求量(COD)、全窒素、全リン等を、土壌の分析としてはpH、電気伝導度、交換性陽イオン、陽イオン交換容量(CEC)、リン酸吸収係数等を分析し、環境試料の化学分析に関するエッセンスを理解するとともにその手法を習得します。

タンパク質科学

「タンパク質科学」の基礎実験に焦点をあてた実験であり、「生化学I、II」、「生物物理化学」などの講義内容と密接に関係しています。タンパク質の結晶化や分子模型の作製、グラフィックス上での立体構造観察などに加えて、以下の実験を行います。

<タンパク質の化学修飾>
タンパク質に他の分子を結合させることは、古くから行われ、今も医療分野など応用面でも汎用されています。修飾されやすい部位は、立体構造をもつタンパク質の外側でしょうか?内側でしょうか?修飾部位を調べることで、タンパク質の形に関する情報を得ることもできます。本実験では、タンパク質科学で基本となる精製方法や定量方法なども学びます。

<タンパク質の安定性測定>
タンパク質は種類や溶液状態によりその安定性は異なります。その安定性を熱力学的に評価します。研究室に分属される前の最後の学生実験として、「できるまで帰れません」のスタンスで行っています。研究では、再現性良く誰もが同じ結果が得られないといけません。また研究では、上手くいかなかったり、予想以上に時間を費やすこともありますが、集中力を保って根気よく取り組むことも必要です。できるまで何度でもやり直してもらいます。

※このホームページに掲載されている内容(文章・写真・意匠等)の無断転載を禁じます。

※また、ホームページで使用しているキャラクターは、夢明氏の作製によるものです。