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【書誌事項】

 山川肇,「家庭ごみ有料化の歴史的経緯」,都市清掃,Vol.61, No.286,2008.11,pp.498−503

【要旨】

 本稿では、有料化の歴史的経緯を概説した。以下、本文「おわりに」を掲載して、要旨に代える。

 家庭からごみ処理手数料を徴収するという家庭ごみ有料化の制度は基本的には終戦直後から始まったものであるが、この60年間の間には2つの大きな波があった。現在は、第二の有料化拡大時代で、市についてみると、過去のピーク時である1960年代の実施割合を超える勢いである。2度の増加期にはいずれも中央官庁による推進の動きが共通して見られるが、第一期が財源調達を目的として拡がったのに対して、現在に至る第二期はごみ減量を主たる目的として拡がっている点で異なり、そのため第一期とは制度特性も基本的に異なっていると考えられる。受益者負担の考え方から排出者責任の考え方へと比重を移しているとも考えられ、法的根拠の議論もこうした経緯も踏まえて議論するのが望ましいと思われる。
 なお、そうはいうものの、ごみ処理事業の費用負担という観点も、排出量の適正化や適正処理の確保、また製品自体をごみ処理・リサイクルに配慮したものにしていく上で依然として重要な視点であり、そのあり方については、拡大生産者責任の考え方も含めて、あらためて議論していく必要があろう。その際には、産業廃棄物や事業系廃棄物、またいわゆる排出禁止物として自治体が指定しているごみ等の処理責任とその費用負担のあり方、公共関与のあり方なども含めて、循環型社会にふさわしい責任配分と費用負担配分が検討される必要があろう。ごみ有料化の歴史は、ごみ処理費用の負担方法の歴史でもある。そうした観点からの議論も今後展開されていくことを望みたい。

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