日本オペレーションズ・リサーチ学会関西支部シンポジウム2015
1. 趣旨:
平成27年9月3日、改正個人情報保護法と改正マイナンバー法が成立した。個人情報保護法は平成17年の全面施行後、初めての大きな改正である。この改正法は、「ビッグデータ」の有効活用を可能にすることを目指している。データサイエンスの領域から、匿名加工情報の利用などを通じたビジネスチャンスが生まれることが期待されている。その反面、プライバシー保護に対する安心を担保できるかについて、国民的なコンセンサスの醸成が必要と思われる。このような状況を鑑み、改正個人情報保護法と改正マイナンバー法を俯瞰し、データサイエンスの新時代の息吹を起こす契機となることを目指して、シンポジウムを開催する。
2. テーマ:個人情報保護法の改正とデータサイエンスの新潮流
3. 日時:平成27年11月14日(土)13:00〜17:30
4. 場所:京都府立大学 稲盛記念会館 102講義室
〒606-8522
京都市左京区下鴨半木町1-5
京都府立大学へのアクセス:
http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=28
下鴨キャンパスのマップ:
http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?co=cat&frmId=3883&frmCd=8-3-1-0-0
5. 定員:150名(事前申込不要、参加費無料)
6. 主催:公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会 関西支部
7. 協賛学会:
情報ネットワーク法学会、システム制御情報学会、ヒューマンインタフェース学会、
IEEE関西支部、電子情報通信学会関西支部、情報処理学会関西支部
8. オーガナイザ:吉冨 康成(京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 教授)
9. プログラム
(1) 13:00〜13:05 開会あいさつ
岳 五一(甲南大学知能情報学部 教授、日本オペレーションズ・リサーチ学会関西支部長)
(2) 13:05〜14:05
「個人情報保護法の改正とマイナンバー法施行」
岡村 久道(英知法律事務所 所長 弁護士 国立情報学研究所 客員教授)
講演概要 |
本年9月に成立した個人情報保護法の改正による個人情報概念の定義内容に関する改正、要配慮個人情報、及び匿名加工情報制度の新設等(2年内の別途政令で定める日を中心に施行)によって、データサイエンス等の学術研究がどのような影響を受けるかという点を中心として、改正の前後を対比しつつ説明を加える。併せて、来年1月1日から利用が開始される個人番号について、学術研究との関係で、どのような取扱いになるのかという点についても、解説をする予定である。 |
講演概要 |
パーソナルデータの利活用の活性化を目的の一つとして行われた2015年の個人情報保護法改正では、個人情報の定義を明確にするとともに、これら個人情報を秘匿する匿名化処理を施した「匿名加工情報」の第三者提供を許諾する新しい制度が導入された。一方、個人情報の保護向上を目的に、「病名」を含む、その取扱いについて特に配慮を要する「要配慮情報」の考え方を導入し、本人同意を得ない取得や第三者提供を制限した。本講演では、本改正によって医療情報学を含む臨床医学研究はどのような影響を受けると予想されるのかについて議論する。 |
講演概要 |
匿名化は、プライバシーを守りつつ個人のデータを提供する手段として従来用いられている。 しかし氏名や住所等を削除するだけの古典的な匿名化は、例えばインターネット上で公開されているデータとの突合や高度な推定技術により、個人が特定される場合があることが問題視されている。 個人情報保護法の改正においても、個人の特定等が出来ないように個人情報を加工する「匿名加工」の方法を施行までに定めるとしており、その内容が待たれるところである。 本発表では、古典的な匿名化では守れない個人特定のリスクについて触れ、当該リスクを低減させる匿名化技術とその課題について紹介したい。 |
講演概要 |
データサイエンスがブームとなる中、オープンデータへの取り組みも進んでいる。日本では政府の後押しもあり、地方自治体の間で様々な取り組みがなされている。 オープンデータを提供する側の活動はしばしば話題になるが、利用する側の状況については言及されることが少ない。一般にデータ分析には高度な技術と高価な機材が必要だと思われがちだが、実際には、そうした敷居は既に非常に低くなっている。 本報告では、オープンデータを個人が利用することの可能性について報告する。あわせて関連するソフトウェア環境を紹介する。 |