専門: 樹木の生態生理学(特に水分生理学)
生態学的な視点からとらえる森林保護学
テーマ:樹木の生育、生存、衰退と水との関わり
水はあらゆる生物にとって欠くことのできないもっとも重要な物質のひとつです。これは樹木にとっても言えることです。ふだん、水や空気はその存在を意識することはあまりありませんが、これらの不足は、樹木の成長を低下させて衰退をひき起こしたり、枯死にいたらせることもあります。このようなことを背景として、私は以下のテーマについて研究をすすめています。
1.樹木が受ける水不足の程度がある限界を超えると、樹体内で水の輸送をつかさどっている道管や仮道管の中の水の柱に空気が侵入して空洞ができます(これをキャビテーションと呼びます)。すると、道管や仮道管の中の水柱が途切れて水が流れなくなります(これをエンボリズムと呼びます)。そのため、枝や根が枯れたり、ひどいときには樹木それ自体が枯れたりします。私は、これらの現象がどのようなメカニズムで起きるのか、萎凋病(急激な水不足がおこって枯れる病気)と呼ばれる樹木の病気とキャビテーションの関係、いろいろな樹木の天然分布とキャビテーションの関係を探っています。
2.近年、近畿地方の日本海側でナラ類の集団枯損が発生しています。その森林のありようを生態学ならびに保護学的視点から探っています。