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第22回洛北史学会大会


【趣旨説明】   大会テーマ:「社会における「異質」の信仰・思想」

 近年、世界的に多様性が認められるようになった一方で、少数意見や極端な思想は未だ世間的に認められないといった様相が見られ、地域によっては弾圧されるような方向に向かうケースも見られる。このような大勢が受け入れ難い存在は現代社会に限らず疎まれることが多いが、対してこのような思想は現行の制度に対するアンチテーゼとも捉えることができ、様々な側面から社会を捉えることができる要素だと言えるだろう。このようないわばマイノリティの信仰・思想はかつて「異質」や「異端」などと称されてきた。本大会ではそうした「異質」と呼ばれるものの影響について議論していき、マイノリティから社会を捉える視点を鍛える場としたい。
 歴史的にみれば、古来より宗教における解釈の違いを理由にした争いが幾度となく行われ、「異端」と認定された思想や宗教は権力により弾圧されてきた。しかし、その一方でこうした「異質」とされる排除や弾圧を逃れ、現代にまで存続し続けた宗教や思想も存在する。こうした宗教や思想がどのようにして弾圧を逃れたのかを知ることは現代における「異端」排除の傾向などに対する共生の可能性を見出すことが可能になるであろう。反対に「異質」な信仰や思想が社会に大きな影響を与えるケースも存在する。「異質」は必ずしも悪ではなく、一つのものの考え方として存在するものである。こうした少数意見が社会に与える影響は計り知れないものがあり、歴史上の影響を考える素材としても有効であろう。
 上記の問題関心に基づき、本大会では三本の報告を用意した。草生久嗣氏の報告では中世ビザンツ帝国における「異端」とされた集団に対する認識について。
浜本隆三氏の報告では、近現代(南北戦争後)のアメリカ南部で発生した白人結社と黒人結社の確執について。中西竜也氏の報告では近代中国において「異質」であったイスラーム信仰がどのようにして生き残ったのかについてそれぞれご報告をお願いしている。いずれの報告も「異質」をテーマにしたものだが、「異質」に対しての視点、そして「異質」の側からの視点の双方を展望することが可能であり、多面的な議論を交わせられることを期待したい。
 「異質」とは権力や大勢の側からの捉え方であり、その定義は非常に曖昧なものになっている。本大会を通じて時代・地域を問わず「異質」がどのように捉えられ、その影響がどのようなものであったかを学問的に共有することは現代社会を理解する上でも有意義であり、今後の世界を見通していく上で重要であると考える。

(文責:洛北史学会大会企画委員会)


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