授業・調査の様子9
「京都の歴史を歩こう!2013―早春の松ヶ崎探検ウォーク―」(2)(2013.4 歴史学科デザイン研修)
文化遺産デザイン研修
3月23日 10:10〜12:20
京都府立総合資料館主催 寺子屋講座
京都の歴史を歩こう!2013 ―早春の松ヶ崎探検ウォーク―
新宮神社
11時10分、新宮神社に到着。最後尾が到着するまで、3分程待ちました。ここでは、「境内には、年代のわかるものがいくつある
か」というクイズを出すのですが、待っている間に、石灯籠に「明治」と刻まれているのに気付かれる方もいました。
クイズの説明をすると、想像以上に盛り上がり、真剣に境内中を探しまわってくれました。声が届かなくなる程の賑やかさで、学
生とも交流が深まったようです。
新宮神社へは10回以上調査に訪れていましたが、本殿へと続く階段は、いつも柵で遮られていました。その柵が、何故かこの日は
開いている…。中へ入りたい気持ちをこらえて、答え合わせや解説をしました。学生は気付かなかったのですが、狛犬の台座に年
号を発見された人もいました。
新宮神社の入り口
境内の石灯籠に注目を促す学生(左から2人目)と参加者
境内には6枚の絵馬があり、それぞれ何が描かれているのかも調べました。
絵馬を見る参加者
新宮神社を出発し、松ヶ崎小学校を目指します。道中、民家の敷地内に多く見られる石灯籠や煙りだしに焦点をあて、各自で担当
の参加者に説明を行いました。参加者の方達は食い入るようにそれらを見ていました。
道の左手には煙りだしのある家が立ち並んでいます。
松ヶ崎廃寺と七面大天女宮
松ヶ崎小学校前に到着。最後尾が到着したのを確認してから、小学校の敷地に眠る遺跡の松ヶ崎廃寺に関して説明を行いました。
プレ遠足の反省を踏まえて、難しい歴史用語についてはパネルを用いながら噛み砕いて説明をしました。文献史料から読み取れる
ことが考古学の観点からも指摘できるという話をした際には、「おぉー」という声も聞こえてきました。
パネルを使って説明(中央奥)
七面大天女宮に到着。七面大天女宮へと続く階段は滑りやすく危険でしたが、数日前に整備されたようで安全に階段を利用する
ことができました。拝殿の周りに集合し、紙垂の形や意味について説明しました。紙垂の形にどのような意味があるのか気になる
ように誘導した上で、答えは「門外不出」と言った際には参加者の笑いを十分にとることができ、全体に和やかなムードが流れました。
七面天女(七面大明神)にまつわる古文書の内容を紹介した際には、皆さん聞いたことのない話だったということもあり、聞き入っ
ていました。
拝殿の天井には「門外不出」の紙垂があります。
涌泉寺でのAR
涌泉寺に到着。涌泉寺には保育園が併設されているのですが、遠足当日に卒園式があったようで、境内にはたくさんの子どもたちが
いました。引率
が涌泉寺に関する話をしている際に、数人の子どもたちが寄ってきて参加者と一緒に話を聞くというハプニング(?)もありました。
その影響もあって、とでも良い雰囲気でした。
ARを活用する際には、双林印刷社さんにスマートフォンやアイパッドを貸していただきました。日差しが強い時間帯だったため、日
陰の方に参加者を誘導し、画面が見やすい環境を整えました。そして、参加者を分散させ、参加者全員にARアプリを楽しんでもらいま
した。参加者が物珍しそうに画面を見ているのが強く印象に残っています。音量を最大限に大きくしてもナレーションが聞こえない場
面があったときは少し残念でしたが、松ヶ崎の題目踊りに関して理解を深めてもらうことができました。
アイパッドを使って、ARで題目踊りを説明しました。
涌泉寺境内にある鐘楼について説明する学生(奥)
涌泉寺を出発した時点で、時間はほぼ12時。時間オーバーですが、参加者は優しく許してくれました。ここから松ヶ崎駅までは、前
川沿いを歩きながら水路の説明をすること以外、決めていませんでした。妙泉寺の池の跡を覗きこんだり、参加者の普段の活動のお話
を聞いたりと、距離はありましたが楽しく歩けました。「次から全部参加する」という嬉しい言葉もあり、解散前から既に達成感を感
じられました。
前川沿いの府道103号は、車が多い上に歩道が狭く、参加者を集めての説明を無くしたのは正解でした。ですが、横断する時の判断
が甘く、危険なことが何度もありました。西田・田島が交通整理をしてくれましたが、判断基準を学生で共有しておくべきだと思います。
担当の参加者と話をしながら歩く学生たち
クイズと解散
12:20分、途中で抜ける人もいましたが、ほぼ全員で無事に松ヶ崎駅に到着。列が長かったため、揃うまでに少し時間がかかりました。
遠足のまとめとしてルートを振りかえり、再度軽い説明をします。ここで題目塔クイズの答え合わせをしてみると、小学生もかなりの
数を見つけていました。遠足中、学生がそれとなく指摘をしたのもありますが、何より「ひげ題目」という名前のインパクトで、頭に残
りやすかったようです。1つの塔の複数面に刻まれた題目を、それぞれカウントしてくれた人もいて、数え方も説明する必要があったと
感じました。
学生の考えたテーマを当ててもらうクイズでは、1人目で正解。会話や説明の中で「日蓮宗」「水」が伝わっていたことに、安心しま
した。
その後、資料館の方と上杉先生、それぞれのお話があり、アンケートをお願いして12時40分ころ解散しました。
学生は、14時から府大で反省会です。各自感想を言い、上杉先生によるまとめがありました。その後は、今後のデザイン研修の活動に
ついて少し話し合い、新3回生はAR、新4回生はオープンキャンパスを頑張ることになりました。最後に、担当の参加者にお礼状を書いて、
本当に解散です。
当日は、学生のスマートフォン率の低さに、双林印刷社さんがアイフォンとアイパッドを貸してくださいました。資料館の方や先生
は、学生が持ち切れなかった荷物を持ってくださいました。
カメラ担当の西田陽子さんは、カメラと荷物を抱えて常に走り回っていました。本番に参加できなかった岡田つかささんも、古文書
の翻刻や考察で活躍してくれました。
その他、学生全員が分担して調査を行い、得た知識をアウトプットすることができたと思います。また、準備段階から、考古学・歴史
地理学・文化情報学という分野を活かして活動し、お互いの長所を再認識することができました。