基礎化学2 (2011年度 前期)
これまでの演習課題
【7/27】 1.ピリジンの水溶液は酸性か,塩基性か,中性か。その根拠(水との反応式)を示して答えよ。 2.マラリヤの特効薬キニーネ(図/p.425)はアルカロイド(自然界に存在する窒素を含む複素環化合物=骨格環が2種類以上の元素からなる化合物)の一種であり,水に溶けにくい。水で抽出するためには(水に溶解させるには)水に何を加えればよいか。また,その処理をして溶けたときの構造を右の構造式(プリントには記載されている)を利用して示せ。 3.(a) エステルを水酸化ナトリウム水溶液でケン化するとき,水酸化物イオンははじめにエステルとどのような中間体をつくるか,はじめにできる中間体の生成反応式をかけ。(b) エステルは酸触媒で加水分解することもできる(式10.18の逆反応)。プロトンはエステルとどのような中間体を作って反応が進行するか。プロトンがはじめに反応した中間体の生成反応式をかけ。
【7/20】 (6.22 b) 求電子付加反応とSN1求核置換反応とを組み合わせて,2-メチル-2-ブテンから2-メトキシ-2-メチルブタンを2段階で合成する反応を考案し,反応機構を『丁寧に』描け。電子の動きを示す矢印はその起点と終点を明確に示し,また形式電荷を忘れずに記入すること。(ヒント)アルケンの求電子付加反応によって,まず2-メチル-2-ブテンとHBrまたはHClからハロゲン化合物(ハロゲン化アルキル)を合成する(ここではじめの合成反応を完了する)。次いでそのハロゲン化合物を取り出し,求核試薬としてメタノール(メチラートイオンではない)を反応させて2-メトキシ-2-メチルブタンを合成する。
【7/13】 (R)-2-ブロモブタンのナトリウムメトキシドによる置換反応は SN 2 と SN 1 いずれの機構でも進行する。その2つの反応機構を描け。SN 2 では「遷移状態」を,SN 1 では「中間体」を,立体構造が明確に分かるように描くこと。生成物の立体構造についても考えてみること。(SN 2反応) (SN 1反応) 【cis-trans 異性体の E-Z 表示法/p.170-171】 (E)-1-ブロモ-1-クロロ-2-メチル-1-ブテンの構造がわかるように描け。
【7/6】1-ブテンに臭化水素を求電子付加させた時に生成する臭素化合物の立体構造は,R 配置かそれともS 配置か。根拠を示して答えよ。まず中間体カルボカチオンの立体構造を考えてみよ。生成物の旋光度についても記せ。
【6/29】(問題1)(a) L-セリンの化学構造を,立体配置が分かりやすいように描け。(b) L-セリンの立体配置はR かS か。R ,S の区別とともに,L-セリンが左旋性である(問題2参照)ことも分かるようにIUPAC方式でL-セリンを命名せよ。(注:-OH ヒドロキシ。命名は p.177式5.1の乳酸の例を参照) (問題2)L-セリンは,[α]D20 −6.8。 (H2O) である。(a) D-セリンの比旋光度はいくらか。L-セリンの例にならって書け。(b) セリンのラセミ混合物(ラセミ体)の比旋光度はいくらか。 (問題3)次の化合物(問題プリントではHCOCH(OH)CH2Clの立体構造が示される。予習段階では立体を考えずに命名を考えておく)の立体配置が分かるように,炭素数3個のアルデヒドとして正式に命名せよ。 解答例:(R)-2-ブロモブタン。 なお,キラル炭素に結合した4つの原子に優先順位を付けよ。
【6/22】フェノールに臭素を加えると,ベンゼンとは異なり触媒なしに,o-ブロモフェノールとp-ブロモフェノールが生成する一方,m-化合物は生じない。この特定の置換体が生成する原因を反応機構(Br2が反応するところから)を示して説明せよ。(臭素を多量加えると,2,4,6-トリブロモフェノールを生じるが,それは考慮しなくてよい。モノ置換体だけについて答えよ。o-位に入った場合とm-位に入った場合を図示して比較するとよい。)
注:「説明せよ」というのは,当然反応機構を描いたうえ,文章でその理由を説明する,ということである。 (復習問題)アルケンの極性付加反応
塩化ビニルに塩化水素を付加反応させると,1,1-ジクロロエタンが生成する。 問1:反応機構を描け。 問2:なぜ,1,2-ジクロロエタンでなく1,1,-ジクロロ体が生成するのか。説明せよ。(ヒント:中間体カルボカチオンの構造から,その共鳴構造,電荷の非局在化を考える)
【6/15】塩化アルミニウムを触媒としてベンゼンからクメン(別名: )を合成する反応の機構を示せ。電子の移動を示す矢印や局在化している陽電荷などを明確にかくこと。ベンゼンのエチル化反応 p.141 式 (4.23, 4.24) を参考にせよ。なお,式 (4.23) 中のAlCl4のAlが+電荷になっているのはマイナスの間違い。(発展課題)上記課題ができれば,問題4.12も考えてみよ。これは小テストの正式な課題ではありませんが,教科書を読んでこの発展問題が自分でできるようになっていれば,文章読解力,有機化学に対する理解力がついてきている証になります。
【6/1】1.(3.42)(g):アルケンの求電子付加の復習応用問題 2.(4.19)構造式をかけ。 3.(4.20)化合物名をかけ。 【参考】「アルケンの求電子付加の反応機構」の理解度に不安のある人は,確認復習のために,教科諸問題 p.125 (3.46) (3.47) に取り組むことを勧めます。なお,問題3.47の化合物リモネンはp.39, 図1.12に載っています。
【5/25】1.アルカンとアルケンを識別できる「簡単な化学的試験法」を2種あげて,簡略に説明せよ。「簡単な」というのは,扱いやすい試薬や方法を用いて結果を容易に肉眼などで識別できる,という意味である。 2.(3.34)化合物名をかけ。 3.(3.35)構造式をかけ。 4.hydrogen,hydro に関連する英単語。
【5/18】250℃の高温で行われる酸 (H+) を触媒とするプロピレンと水の求電子付加(式3.13)の反応機構を,p.95-98を参考にして段階的に描け。 プロピレンとその反応中間体は立体的に描くこと(式3.18〜3.20参照)。最終生成物には化学名も記せ。電子の動きをはっきりと矢印で示し,形式電荷も忘れずに。 ヒント:出発物質のプロピレンの立体構造は,図3.1左のエチレン(二重結合した炭素と各炭素に結合した水素とはすべて同一平面上にある)を参考にせよ。その1つのHをメチル基に替えればよい。図3.5も見よ。 (第1段階)はじめにプロトンが求電子付加してカルボカチオン(炭素陽イオン)が生じる(この時,二重結合のπ電子が新σ結合に使われる)。 (第2段階)次いでそのカルボカチオンに水が作用する。 (第3段階)付加した水分子からプロトンが外れる。