氏名 :中尾 淳 (Atsushi NAKAO)
所属 :京都府立大学・生命環境科学研究科・
応用生命科学専攻・土壌化学分野
〒606-8522 京都市左京区下鴨半木町1-5
Tel & Fax: 075-703-5652
E-mail: na_4_ka_triplochiton@kpu.ac.jp (@は半角)
URL: http://www2.kpu.ac.jp/life_environ/bioanal_chem/nakaoi.html
職名 :助教
学位 :博士(農学)
専門分野:土壌学土壌が育まれる環境的背景の違いにより土壌粘土は多様な組成・構造を持つようになります。私は,気候・地質・地形などの違いによって生じる土壌粘土の組成・構造の多様性と,表面電荷の性質やイオンの吸着挙動との関連性に興味を持っています。化学の目で土壌中での元素のふるまいに法則性を見出し,生命を支える基盤である土壌と人類との持続的な付き合い方の提案につなげていきたいと考えています。
1.アジア・アフリカにおける土壌粘土の特性解析:土壌粘土鉱物学
アジア・アフリカの貧栄養な土壌において、土壌粘土が養分を蓄える機能を理解することが、農地での適切な施肥管理につながります。フェラルソルなどの強風化土壌に豊富に存在する鉄酸化物は高いリン酸固定機能を持ちますが、その機能は鉄酸化物の種類や腐植の付着量、構造へのアルミニウム置換率等の影響で変化します。環境的背景の異なるフェラルソルに含まれる鉄酸化物の構造や表面の化学性を解析し、それらの特性とリン固定機能との関係を明らかにすることで、フェラルソルでのリンの有効利用の可能性を探っていきたいと考えています。
セシウムは、土壌中に存在する粘土鉱物の一種である雲母類(イライト様鉱物)に強く固定されます。雲母類の層末端開裂によって生じる、フレイド・エッジと呼ばれる場所がその固定に寄与するためです。ただし、日本のどの土壌に雲母が多く存在するのか、どの程度開裂した雲母類がもっともセシウムを固定しやすいか、などは良く分かっていない状態です。そこで、日本の様々な種類の土壌について、雲母類の存在量や開裂の程度、そしてフレイド・エッジへのセシウムの吸着を阻害するAlポリマーの影響などを調べることで、放射性セシウムの移動性を規定する鉱物学的な要因の解明を目指しています。
(左: 雲母類の風化によるフレイド・エッジの形成) (右: 粘土中のカリウム量とRIP(フレイド・エッジ量の推定値))
3.湿潤アジア蛇紋岩地帯における地形の変異と土壌の鉱物組成および元素組成の関係
蛇紋岩は,環太平洋造山帯のようにプレート運動の盛んな地域において,超塩基性岩の熱水変質によってできる変成岩であり,元素・鉱物組成において他の岩石とは大きな差異を示します。蛇紋岩が風化してできる土壌(蛇紋岩土壌)にも,特異的な元素組成(MgとCaのイオンバランス異常や重金属過剰)が引き継がれるため,蛇紋岩地帯では作物生育が難しいとされています。一方で,蛇紋岩は風化しやすいため,地形や気候条件によって土壌の性質が大きく変異する可能性がありますが,日本を含む湿潤アジアの蛇紋岩地帯で土壌の性質がどのように空間変異を示すのかはよく分かっていません。そこで,蛇紋岩地帯における元素組成や物理化学的特徴の空間的な変異とその要因を解明することを目的として研究を進めています。
(左:蛇紋岩土壌(左から兵庫県関宮,台湾)と酸性岩を母材とする (右: 蛇紋岩土壌(兵庫県関宮))
土壌(右)の全塩基量(cmolc kg-1),緑=Mg,赤=Ca,紫=K,黄=Na)
所属学会 :
日本土壌肥料学会
日本ペドロジー学会
腐植物質学会
森林立地学会
社会活動 :
#北里大学獣医学部主催・平成23年度第1回生物環境科学科セミナー・講師、「土壌環境中の放射性セシウム(137Cs)の挙動」2011年6月24日
#日本農学会主催・平成23年度日本農学会シンポジウム‐環境の保全と修復に貢献する農学研究‐・講師、「放射能汚染土壌の環境修復を目指して」2011年10月8日
学歴 :
2002年3月 京都大学農学部生産環境学科卒業
2004年3月 京都大学大学院農学研究科修士課程修了(地域環境科学専攻)
2004年4月 日本原子力研究所(現在 日本原子力研究開発機構)特別研究生(2005年3月まで)
2006年6月 ベルギー王立原子力研究センター(SCK・CEN)へ短期留学(1ヵ月)
2007年3月 京都大学大学院農学研究科博士課程研究指導認定
2008年3月 同退学
2008年5月 京都大学博士号(農学)取得
職歴 :
2008年4月 京都大学大学院農学研究科 教務補佐員(地域環境科学専攻土壌学分野)
2008年5月 同研究員(科学研究)
2008年10月 京都大学大学院地球環境学堂 研究員(科学研究)
2009年11月 財団法人環境科学技術研究所 任期付研究員
2011年11月 京都府立大学大学院生命環境科学研究科助教(応用生命科学) 現在に至る
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