土壌化学/生命分析化学研究室:研究内容
1.微量元素の高感度分析法の開発
土壌等の環境試料の微量元素の分析は、環境中での微量元素の挙動を知るために不可欠であるものの、一般に夾雑物が存在するため純系より測定が困難です。そこで本研究室では、ヨウ素、セレン、臭素、ホウ素などの高感度分析法の開発を進めています。
(左:ホウ素の吸光光度定量、中:リン酸の吸光光度定量、右:高速液体クロマトグラフ)
2.微量元素の環境中での存在量・形態・挙動の評価
微量元素の環境中(土壌や環境水)での存在形態や挙動は、pHや酸化還元電位などに規定されています。本研究室では、微量元素の存在形態・挙動と環境要因との関連を明らかにするとともに、微量元素の面から見た環境の適切な管理について研究を進めています。

(左:水稲栽培試験、中:ヨウ素過剰イネ−赤枯れ病(A)、右:黒大豆の微量元素欠乏試験)
3.土壌の肥沃度評価と養分供給機構の解明
土壌から植物への養分供給は、土壌の生産機能の基盤であり、自然植生や作物生産を支えています。本研究室では、その基礎となる土壌肥沃度の評価法の改良や土壌の養分供給機構の解明、さらには根圏・根域・圃場スケールでの変異を考慮した合理的土壌管理法の提示を目指した研究を進めています。
(左:根圏土壌の様子、中:根域の肥培管理と植物生育、右:圃場内の収量の空間変異)
4.土壌の重金属汚染の機構解明と修復法の確立
土壌の重金属汚染は人類の活動とともに顕在化し、現在から将来にわたる大きな問題になっています。本研究室では、各種重金属の土壌中での挙動を明らかにし汚染機構を解明するとともに、植物を用いた汚染土壌の浄化修復法の確立を目指した研究を進めています。

(左:超集積植物グンバイナズナ、中:土壌と植物のCd濃度の関係、右:土壌環境の測定)
5.熱帯農業生態系における各種元素の動態解明と持続性評価
熱帯土壌は一般に養分・有機物に乏しく生産性が低いと言われています。しかし熱帯の多くの地域では、このような土壌に依存した農業が行われています。本研究室では、熱帯農業生態系を物質循環の視点から捉え、その持続的管理を目指した研究を進めています。

(左:キャッサバ生育調査、中:熱帯土壌、右:有機物連用区のサトウキビ:いずれも東北タイ)
