ごあいさつ

 私は、1990年代に滋賀医科大学福祉保健医学講座(当時、現在は社会医学講座公衆衛生学部門)で公衆衛生学、栄養疫学と出会い、INTERMAP研究NIPPON DATA研究という循環器疾患に関する大規模疫学研究に携わることになりました。その後医学部に進学し、医療機関、国立健康・栄養研究所などで勤務しながら、日本人の食生活の特徴は何なのか、循環器疾患との関連はどうなっているのか、研究を続けてきました。現在も、それら疫学データセットを用いた研究を継続するとともに、減塩と増カリウム(食事性Na/K比の改善)により高血圧を予防する介入研究計画を進めています。

 1900年代後半以来の栄養疫学の成果により、循環器疾患に関わる主だった栄養因子は明らかとなりました。疫学は本来実社会で役立つ学問ですが、日本人の食は豊かになるとともに極めて多彩となったため、改善のためのメッセージを届けること、実際に食生活、栄養が改善されることは容易ではありません。運動、身体活動も同様の側面があり、多くの人がジョギングを楽しみ市民マラソン大会が盛況となる一方で(この1年は開催すらままなりませんが)、特に男性の平均BMIは上昇傾向です。

 食は毎日のことであり、生活習慣そのものです。多くの人が毎日の食を楽しみ健康を保持するための研究を進めていきます。

奥田 奈賀子
2021年5月6日

nokuda "at" kpu.ac.jp