授業・調査の様子8

「京都の歴史を歩こう!2013―早春の松ヶ崎探検ウォーク―」(1)(2013.4 歴史学科デザイン研修)


文化遺産デザイン研修

 歴史学科では、学生有志が参加する「文化遺産デザイン研修」が設置されています。
地域に存在する文化遺産を、地域の中でどのように活用するか考える(=デザインする)ことができるようになるためのスキル
アップとして、各地域の実践例を学び、地域の文化遺産を調査し、その活用例を企画していくことを目的に、様々な活動を行っ
ています。
 今回は、2013年3月23日に行われた京都府立総合資料館と共同で開催した歴史遠足「京都の歴史を歩こう!2013 
―早春の松ヶ崎探検ウォーク―」の様子を2回に分けてご紹介します。

歴史学科の学生の企画で、AR(拡張現実)を文化遺産の活用に用いたのは、おそらく日本初の試みです。
ARについては、「「AR」×「歴史学科」=??」で詳しく紹介しています。

 また今回の活動は、京都新聞に「私たちの歴史発信術」(2013年3月13日、夕刊)、「松ヶ崎の歴史歩いてたどる」
(3月24日、朝刊)として掲載されました。


京都府立総合資料館主催 寺子屋講座 京都の歴史を歩こう!2013 ―早春の松ヶ崎探検ウォーク―  吉田編、北山編に続き、3度目となる遠足。今回も、学生が中心となってコース、内容を考えました。ここでは本番当日の様 子を報告したいと思います。当日の参加者は、一般の方が30人、学生16人、教員2人、資料館の職員さん4人、双林印刷社さんか ら2人、京都新聞社さんから1人でした。

宝池スポーツ公園に集合

 9時10分、参加学生と教員が宝池スポーツ公園広場に集合。コアメンバーは大学に寄って、スケッチブック・画版・名札・パ
ンフレット・アンケートといった道具を運びました。集合後は、今日の流れや注意事項を確認し、参加者の集まる松ヶ崎駅へと
向かいます。引率者の安藤・田辺、カメラマンの西田、先生方、資料館の職員さん達は待機。

 9時45分ころから、参加者が集まり始めました。来られた方から名前を聞いて名簿にチェックし、名札とパンフレットを配り
ましたが、名札が見つからなかったり、配っていない人が判らなかったり、手間取ってしまいました。
  この時ARの企画があると説明し、スマートフォンユーザーにはAR easy をダウンロードしてもらいます。参加者と一緒に学生
も増えていくので、雑談して揃うのを待ちました。この時はまだ少し、お互いぎこちない雰囲気もありました。









 宝池スポーツ公園広場で参加者と雑談
 10時10分、参加者が揃いました。まずは資料館の方からご挨拶、次に上杉先生から一言。引率は、ルートの軽い説明と、クイズ
の予告をしました。それから、参加者と担当学生を発表し、自己紹介の時間を取りました。出身地や参加理由を話し、徐々に打ち
解けたお喋りが聞こえてきます。

岩上神社

 10時20分、広場を出発。学内向けのプレ遠足(2月18日実施)の反省を活かし、きつね坂の墓地まではAとBの2班に分かれて進み
ます。少し混乱しながらも、賑やかに広場を後にしました。プレ遠足の豪雨とは大違いの晴天で、遠足日和です。

 A班は、まず岩上神社に行きました。境内に入る前から、カメラを構える方が数名。境内では、かなりの方が写真を撮っていま
した。熱心にメモを取りながら聞いてくださる姿や、説明に対して笑いが返ってくる新鮮さに、嬉しさを覚えました。岩倉道の
「いわくら」は「磐」のことか、など学生では思いつかなかった質問も飛び出し、話が弾みます。









 岩上神社境内での説明。パネルも使用しました。
 次に、岩上神社の前にあるお地蔵さんの説明をしてから、桜井の水へと向かいました。交代でB班が岩上神社へ。この時にB班を
少し待たせてしまいました。
 桜井の水では、「枕草子」「清少納言」といったメジャーな言葉に、多くの参加者が反応していました。同時に、その場でパン
フレットを読んで、別説もあるということを理解してくださる方もいて、安心しました。人数を半分に分けたため、参加者全員が
湧水をよく見られたかと思います。「飲めるの?」という質問の多さは、一度くらい飲んでみればよかったか、と思う程でした。
 題目塔の説明の後、「ルート内にいくつあるか」という1つめのクイズを出すと、とても盛り上がりました。
その場できつね坂の説明も行い、墓地の方へと向かいます。途中、「狐がギャーギャーと鳴いていた」というパンフレットに対し、
「狐はコンコンじゃないの?」という声がありましたが、後で調べてみると、実際の狐はギャーギャーと鳴くことがわかりました。









 お地蔵さん(中央下)の前で説明する学生(右端)









 桜井の水の前で写真を撮る参加者(右手奥に桜井の水があります)

五山送り火の「妙」の山

 墓地のある山は、五山送り火の「妙」の山。松ヶ崎は「妙」「法」を背負う地域、という説明をするなど、法華経やお題目といった
ワードを沢山使っています。余裕があれば墓地の中の題目塔を案内しようとも思いましたが、B班が追いついたため、希望者のみ現
物を見にいきました。広場からここまで、距離は短くても説明は盛り沢山。とても長く感じます。

 墓地の駐車場で合流した後は、班は関係無くハイキングコースを歩いていきます。そのため、列は非常に長くなりました。歩く際、
左右どちらに寄るかの判断ができず、道を塞いでしまうこともありました。
岩上神社のご神体を見られるところでは、参加者は熱心に覗き込んでいました。途中にある崩れた斜面は、昔は池だったというお話
を参加者から聞くことができました。文献や聞き取りではわからなかった、新たな情報です。









 ブロック塀の向こう側に岩上神社のご神体があります









 ハイキングコースの途中にある崖の崩れたような場所。昔は池だったそうです。

「京都の歴史を歩こう!2013―早春の松ヶ崎探検ウォーク―」(2)につづく。