教養教育共同化の考え方

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平成17928

     京都工芸繊維大学・京都府立医科大学・京都府立大学三大学連携協議
              ――教養教育共同化の考え方(中間まとめ)――

                            教養教育等検討部会座長 渡 辺 信一郎

 教養教育等検討部会において5回にわたって検討してきた3大学の教養教育共同化案について、現在の到達点をとりまとめ、以下のとおり報告します。

(1)教養教育共同化にあたっての視点・目標

@共同化によって教養カリキュラムの選択幅を拡大し、一大学では対応できない学生の多様な関心・教育要求に応え、様ざまな角度から総合的に物事を観察し的確に判断できる能力と豊かな人間性の涵養をはかる。

A共同化によって三大学の学生・教員の交流をはかり、下鴨・北山地域における新しい学生のライフスタイル、大学像を構築する。

(2)教養教育共同化にあたっての原則

@各大学が責任ある体制のもとで教養教育を構築し、その上で三大学にとってメリットのあるものについて共同化をはかる。

A共同化は、共通の場所で共通の時間帯を設定し、共通のカリキュラムを三大学共同で開講し、三大学の学生が集まって受講するものとする。

B共同化の対象は、原則としてリベラルアーツ・講義科目とする。

C共同化は、三大学の教養教育の特色と規模に応じて科目を比較検討し、カリキュラムを編成するものとする。

(3)共同化のための基礎条件整備

@共同化にあたって、三大学の距離、特に医科大学学舍が府大・工繊大のある北山地区から離れていることが障害になる。

Aこれを解消するためには医科大教養教育の府大下鴨キャンパスへの移転が共同化の基礎条件として必要である。

B医科大教養部施設とは別に、府大下鴨キャンパスに三大学共同施設を造ることを提案する。
10年程度の長期的な共同化の拡充を考えて、共同施設は、少なくとも各大学が現在おこなっている教養教育の半数程度を実施できるものを構想すべきである(具体的には府大合同講義棟程度の規模)。

(4)共同化のタイムスケジュール

@10年程度の長期的な共同化をめざし、当面は共同化のための施設建設を視野に入れて3〜5年の中期的計画案を作成する。

A中期計画はつぎのスケジュールで策定・実施する。

18年度 共同化協議組織立ち上げ、共同化方式・カリキュラム策定

三大学教養教育共同化協定締結

19年度 一部科目について共同化を試行

20年度以降−共同化実施、拡充・展開

B10年間の長期計画では、中期計画をふまえ現在各大学が実施している教養教育の半数程度の共同化をめざす。

C計画を遂行するにあたって必要な予算の確保に努める。

(5)当面の共同化イメージ

@当面、特定曜日の3コマ程度を確保し、各時限に1つずつ1セメスター3コマ、年間計6コマ12単位を開講する。

A可能であれば、特定曜日の3コマ程度を確保し、各時限に二つずつ平行して1セメスター6コマ、年間計12コマ24単位を開講する。

Bカリキュラムは、当面三大学の教養教育の特色を生かしたアラカルト方式のカリキュラムとする。

C共同化が進み、条件が整えばテーマを限定したカリキュラムを構想することも可能である。(例 京都学など)


D一大学で開講してもメリットがない少数受講生の講義・講読科目の共通開講をはかる。ラテン語・ロシア語等の共同開講など。

E共同カリキュラムの授業にあっては、200名以上のクラスは編成しない。

F共同カリキュラムとは別に、各大学の教養教育を共同施設で開講し、教養教育の単位互換や将来の共同カリキュラムの拡充にそなえる。

(6)共同化にあたっての課題

@中期計画の完遂のみならず、10年間をめどとする長期計画を実現するためには、現行の医科大学のカリキュラム・時間割体系の見直しが必要である。下鴨キャンパスへの移転は、長期共同化計画の実現に対応しうる教養教育のカリキュラム・体制づくりが前提になる。

A共同化にあたっては、講義室だけでなく、学生のライフスタイルの構築をも視野に入れて学生支援施設の整備をおこなう必要がある。

B各大学で異なっている単位の数え方・学期制・授業時間・試験期間などの整備・統一化をはかる必要がある。これは、技術的な問題にとどまらず、学生のライフスタイルの構築にもかかわる課題である。

(7)共同の運営協議組織

@三大学から選出する教員3名・職員1名、計12名の委員が構成する運営協議会を共同で組織する。

A運営だけでなく、自己評価・FDを独自に行い、将来的な共同化の展開を企画立案する責任ある体制をめざす。

B18年度は、共同化準備委員会とし、具体的な共同化方式・カリキュラム、共同化・連携協定案の策定など、実施に向けた作業をおこなう。

C3名の職員は事務組織を構成する。


(8)その他(教養教育共同化からの展開として)

@三大学以外からの聴講制度の開発。

A新しい大学像の構築という視点から、府民を対象とする生涯教育の三大学連携の可能性をも探る必要がある。

B他の専門教育・共同研究作業部会での検討状況にあわせて協議する体制が必要である。

   


                        教養教育等検討部会

京都工芸繊維大学    副学長  古山正雄
教授  中岡 明
教授  並木誠士
教授  塩屋葉子
学務課長  澤田敏行
学務課主査  瓶子明弘
学務課係長  田尻和子

京都府立医科大学 教養教育部長  大武 博
教授  佐野 護
教養教育事務長  荒田利夫
庶務課主任  安村 真

京都府立大学    教務部長  渡辺信一郎
教授  吉岡真佐樹
庶務課参事  分林 章吾
学務課主幹  川端 重朗



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