チャトゲコナジラミの防除において、シルベストリコバチ
Encarsia smithi (Silvestri) という寄生バチの活躍が期待されています。シルベストリコバチはハチ目ツヤコバチ科に属する、成虫の体長が約0.6mmの単寄生性の昆虫です。オスは体色が黒色であるのに対し、メスは体色が褐色で小楯板が真珠色を呈するため、肉眼で雌雄を区別することが可能です。シルベストリコバチはトゲコナジラミのスペシャリストなので、人の手による農薬散布では薬剤がかかりにくい部位に生息するチャトゲコナジラミであっても、容易に寄生することができます。また、本ハチは産卵によりチャトゲコナジラミ幼虫を殺しますが、それ以外にもチャトゲコナジラミ幼虫の体液を摂食することによっても殺すことが知られています
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カンキツにおいて、本ハチの導入により我が国における前述のミカントゲコナジラミは激減し、現在ミカントゲコナジラミによるカンキツの被害はまったく問題とされません。チャトゲコナジラミにおいてもしばしば本ハチの寄生率が極めて高くなることなどから、茶園においても農薬の種類や散布方法を工夫することにより本ハチを有効活用することが、チャトゲコナジラミの防除に欠かせないと考えられています。