設計趣旨
近年リノベーションが急速に着目され始めた。建築家による開発か、歴史家による保存か二項対立がしばしば語られてきたのに対し、リノベーションは両者を媒介する第三の手法と考えている。また近年、建築分野において近代化遺産を適切に対処し、でざいん手法を駆使することにより価値を付加する洗練された実例が見られるようになってきた。このような付加は歴史的遺産と徹底的に対話する革新的な建築の姿勢を示唆している。日本国内においても、歴史的価値の高い遺産を有効活用した事例が増加してきている。本研究では、歴史的遺産として友ヶ島・由良要塞を取り上げ、島に点在する砲台群を対象にして具体的な設計を行い、既存建築における「再利用」について新たなあり方の可能性を提示することを目的とする。