設計趣旨
近代文明や技術による人工環境の充足は、都市に生活する者と自然環境との関係を希薄にしている。有限な地球環境の中に暮らしてゆく作法を身につけるためには、各個人が自らの身体を以て自然と向き合い、五感を通してその恩恵の本質を再認識することが必要なのではないだろうか。 小さい島々がある北欧の国では水辺の遊びを楽しむためにボートハウスをもつ習慣があり、人々は日々の暮らしの延長に自然の存在を身近に取り入れている。ここに着想を得て本研究では、日常からはなれ自然と親しむ中で、都市生活者が自然の営みに帰属する感覚を回復することを目的とした水辺の遊び場を計画する。また計画地の自然特性を顕在化させ、その魅力を増幅させることができる建築のデザイン手法のあり方についても考察し、具体的な設計案として提案することを目的とする。