設計趣旨
近年の都市空間は高層・高密化し、空いた場所を見つけることが難しい。ふとした時に考え事をしたり、心を落ち着かせる場所が少ないと感じる。都市の中心部では機能で満たされたカーテンウォールの高層ビルが密に建ち並び、人の動きは流動的で、人々が立ち止まることが許されない光景が広がる。そこで意識的に都市のヴォイドとなる場所を作り、都市の余白とする。もともと日本における都市とは「すき間」や「奥」が多く存在し、個々の領域が曖昧なものであった。このような日本独自の空間感が都市を作り上げていく中で失われてしまったと感じ、余白の空間に「すき間」や「奥」という概念を取り入れることで都市の拠り所となる余白を創造する。