修了生+卒業生>河村志朋子



卒業研究(作品) 成長する家具/子ども用椅子の可能性から

設計趣旨
 イージーチェア、ワーキングチェア、ラウンジチェア、寝椅子、子ども椅子など、それぞれの椅子には用途及び使用場面、使用者に応じた名称がつけられていることが多い。これは椅子が目的に応じて座る姿勢が異なり、一般的に複数の用途にまたがって利用することができない家具として位置づけられていることに起因する。  上記の椅子のうち、子ども椅子はその形状から対象者が極めて限られており、子どもの成長により数年で使用が不可能になる。また、学習椅子は子どもの成長に沿って、利用できるように考えられた椅子である。児童期から青年期にかけて使用するにもかかわらず、デザインは低学年の児童向けに考えられている。そのため、学習という目的がなくなった際に不要となり、これら子ども用椅子は最終的に廃棄される傾向にある。  この傾向は子ども用椅子に限ったことではない。機械化が進んだ現代では、大量生産と低コストが可能になった反面、使い捨て同然に無造作に廃棄される家具が少なくない。時代と流行のスピードが速くなる中で、代々引き継ぐ家具ではなく、手放すことが惜しくない安価な家具を人々は求めるようになった。昨今、環境問題が大きく取り上げられている中でも、この使い捨て文化は継続されている。しかし、環境への配慮が問われる時代において、この姿勢は見直されるべきではないだろうか。