修了生+卒業生>小林奈央



卒業研究(作品) か身交ふ人々/ふるまいと時間が交錯する複合施設の計画

設計趣旨
 covid-19の蔓延により、ネット社会に拍車がかかった。オンラインでも授業や飲み会という目的を果たすことがより容易になった。そのような中で、身体活動を伴った関わり(オフライン)の重要性が再認識されている。その一つとして、目的を果たす以外に得られる副産物がある。それは、自身が求めたもの以外との遭遇である。目的ではなく過程にその価値がある。そこでは自然や人間が影響を与え合う。 昔の言葉に「か身交ふ」という言葉がある。これは「考える」の古語であるが、このような状況をよく言い表している。同時に、人間たらしめる「考える」につながる他者と交わることの重要性と「考える」が身体的な行為であることがわかる。例えば、他人を見ているのに、自身を観ていたりする。誰かと話すと、考えがまとまったり、進む。散歩していると良いひらめきがあったりする。 オンライン化の進む中において、建築は「か身交ふ」を補助できる一つの身体的環境である。 また、慢性的に「か身交ふ」状況の少ない車社会のライフスタイルに着目し、その一例として京都府北部の交通の要所である京都府綾部市を取り上げる。 本研究では、「か身交ふ」人間のふるまいの重要性に着目し、人々が「か身交ふ」場の分析から設計ルールを立て、それを基にした具体的な計画案の提示を目的とする。