設計趣旨
近代以降、人と場とのつながりが希薄になっている。近代社会では効率性や利便性、経済性が重視され、日本の各地で、元々の地勢や環境、文化などとは関わりを持たない要素によって風景が更新されてきた。しかし、そのような風景の中では、人は場所に対する意識が希薄になってしまう。そのような反動から近年では地域性や個別性を含めた場所性への関心が高まっている。
また常に変化し続ける社会的な要望や生活の変革などにより、土地は手を加えられ、様々な履歴を積み重ね続ける。新たな介入においては、場所に対して様々なものが無関係に別々に存在するのではなく、場との関係を持った一体的なものとして存在することで、全体における場の豊かさへとつながっていくことができると考えられる。つまり元々の環境と関係を持った介入であることが期待されている。
以上のことを踏まえ、本研究では滋賀県のマキノ町をモデルとし、人と場をつなぎ合わせることを主題とした点在型建築物と遊歩道のあり方を提示することを目的とする。