設計趣旨
京都市営地下鉄は、昭和56年の開業から京都市民の足として利用されてきた。しかし、トンネルを掘り進めるための埋蔵文化財調査などから、建設費は約8500億円と高額になり、さらに、想定乗客数が予想より下回ったことにより、開業から平成26年度まで決算状況は赤字であった。平成27年度以降は黒字がつづいているが、依然として企業債等残高は多く、新たな打開策が必要といえる。また地下鉄は、地下に埋設された空間であることから、構内いると外部の方向や状況がわかりづらい。さらに、ホームとコンコースがフロアで分節された形式がとられていることにより、出発する電車のホームが判断しづらいという難点もある。このように京都市営地下鉄には経営を支える金銭的な問題が残っているだけでなく、利用者にとってもさらなる改善の余地のある場所といえる。そこで、本研究では駅そのものにランドマーク観光スポットとしての集客効果を与え、なおかつ視覚的に外部とつながった地下空間の展開を意図して、地下鉄の新駅の計画案を提示することを目的とする。