修了生+卒業生>小田康博



卒業研究(作品) 森の学校/独立と連続を主題とした建築の設計

設計趣旨
 私たちはウォークマンや携帯電話などを用いて公共的な空間に私的な環境を自ら容易に確保できるようになったが、これは他者との関係を築きにくいものにしてしまったとも言える。一般的な内部空間が、快適性・安定性を求めるがゆえに変化に乏しいこともその要因になっているだろう。しかし人は他者と積極的に関与していくことで、成長していくものではないだろうか?
 一方で公園は現代社会においても人々に共有され、コミュニケーションが育まれる場として機能している。主婦が公園デビューし、ご近所づきあいすることがそれである。公園のような空間をつくる、これが本計画の目的であった。
 一般的な公園には、樹木がある。公園に生えている樹木は、水平空間の中の垂直な要素であり、時にシンボルとして、また単純に影をつくることによる憩いの場として、人々が集まる要素となっている。私はこの樹木を建築物内部に取り入れることによって、内部空間に変化と公園のような自由さを与え、様々な人の行動・関係を誘発する空間を提案することができないかと考えた。
 森の中に、不完全な小さな部屋の集合体を配置する。各部屋をつなぐものは、樹木が貫通した内部とも外部とも呼べない空間。やわらかな光が梁を通して降り注ぎ、心地よい風が通り抜ける。この建築において内部は内部で完結せず、外部に自由に広がっていく。