修了生+卒業生>荻原直子



卒業研究(作品) 森の工房

設計趣旨
 人間の生活は自然を基盤としている。元来、人間は自然の厳しさに耐え、また自然から恩恵を受け、自然の循環に添って生きていた。現在、私たちは自然の恩恵を当然のことと受け入れているが、そのプロセスは容易に実感できなくなった。その結果、私たちは自然に無関心になり、自然への想像力も低下していったのではないだろうか。
 一方、近年「LOHAS」、「エコ」、「スローライフ」という言葉の流行に見られるように、自然の流れに沿おう、無理なく健康に過ごそう、というような意思が芽生えている。これは、大量生産・大量消費ではなく、自分にあったものを、長く使おう、と意識し出した人が多くなったということでもある。 自分の手で作ったもの、自分の生活に合わせて作ったものというのは、深い愛着も生まれ、サスティナブルな使用が見込まれると感じる。実際、制作行程に関わることで修理や再利用もしやすい。自分に必要なものを考えることは生活自体を再考することにもなるだろう。
 このことを踏まえ、本計画では自然素材・手作業によるものづくりのための工房を計画した。木々や草花、土など、ものづくりの材料となるもののルーツを直に学ぶことの出来るよう、敷地は林中とする。本計画において、自然の隠喩ともされる木を要素として取り出し、木の迫力や魅力を引き出せる手法によってこれを実現しようとした。
 また、木造の可能性と共に、木の持つ強さを改めて鮮明に印象づけられる手法を提案し、同時に、豊かな自然とふれあい、美しさや厳しさを体感することを通じて、自然環境と自己の生活を再考しうる場を提案したいと考えた。工房やアトリエと呼ばれる空間を単なる作業場とせずに、自然を楽しみ、周辺環境と密接に関係しあった場にすることを目指した。