設計趣旨
日本の卸売市場は、市民の食生活を支えている公共的な流通のインフラである。卸売市場では、国内外から大量、多品種の生鮮食料品を集荷し、せり等で需要と供給の反映した適正な価格を短時間で決定し、迅速に分荷して買出人に販売することが行われている。卸売市場を通して生鮮食料品の取引が行われるのは、品目や品種が多種多様で規格化しにくく、供給量が変動しやすいからであり、現物を見て適正な価格を決定する取引のシステムが確立している卸売市場の取引・流通の仕組みは、生産者・消費者ともに安心して出荷・購入することができることにつながっている。
卸売市場が今後も生鮮食料品の流通を担う基幹的インフラとして機能していくためには、従来の生鮮食品の出荷・仕入の役割だけに留まるのではなく、時代に適合しながら柔軟に役割を変化させていくべきである。よって本研究では単なる生鮮食品の物流施設としての卸売市場を計画するのではなくこれからの社会における新たな卸売市場のあり方を再編計画として提示することを目的とする。