設計趣旨
自然と関わりを持つことで人間は多くの恩恵を受けている。自然豊かな場所ではその特徴を生かし、農林業や観光を営み、暮らしや文化を育んできた。またそういった場所を訪れることで精神的な安らぎを得ることもできる。しかし一方で、災害という脅威と隣り合わせであることを忘れてはならない。自然災害は長い地球の時間軸でとらえると一瞬のことであるが、その一瞬が人間に与える影響はとても大きい。いつ発生するか分からない災害に対して正しい知識をもつことが大切であり、また災害が起こった際にはその事実を風化させないよう、後世に伝えていく必要がある。自然の二面性を理解することで、災害によって一度、破綻した自然との関係性を再構築することができるのではないか。
そこで本研究では、自然の持つ危険性を正しく再認識し、過去に自然災害が起こった事実を私たちが記憶にとどめておくため、また、次世代にもその事実を知ってもらうための場となるような建築を提案したい。