修了生+卒業生>大谷一成



修士研究(作品) 都市・歴史・景観の建築手法/本能寺をモデルケースとする都市型寺院建築の再構築と空間デザイン

設計趣旨
 現代的な都市の中で埋もれた状況に陥っている寺院建築の空間を再構築することで新しい都市景観の在り方を提案する。現在の日本の都市は歴史的な脈絡の無い紋切り型のデザインが行われ、どの地域においても単調な風景を生み出している。そのため、日本の都市景観は世界的に見ても多くの問題を抱えており、美しい街並みを生み出すことは建築を行う上で非常に重要である。本計画は都市型寺院建築の存在が地域独自の都市景観をつくり出すきっかけとなると考え、「現代都市と寺院建築の新しい関係性を生み出す空間」を主題とした設計を行う。
 本能寺は京都府京都市中京区にある法華宗本門流本山であり、現代的な都市空間の中にひっそりと存在している寺院である。本能寺は都市型寺院建築としては比較的規模が大きく、都市における寺院建築の新しい可能性を見出す余地を多く秘めた敷地であると判断し、計画地として選定した。本能寺の周辺は交通量、人通りともに多く、過密に計画された地域である。北には御池通りを挟んで京都市役所があり、西には寺町商店街、東には河原町通りが存在している。また、御池通り側には地下街と大規模な市営地下駐車場が隣接していることもあり、非常に利便性の高い場所となっている。本計画ではこれらの周辺環境と寺院の境内に計画する建築空間を結びつけることで、寺院建築と現代都市の新しい可能性を考察する。