設計趣旨
椅子の種類や形式は多岐にわたるが、それらの多くは使用する場面がある程度想定されており、場面の使用状況に応じたデザインとなっている。このような椅子の中で、ベンチはデザインの種類が少なく、ほとんどはどのような空間にも置け、不特定多数の誰にでも使用できる汎用性のあるデザインとなっている。汎用性の高いデザインは、生産性や耐久性に優れる一方で、ある場面の使用状況に応じた十分な機能を備えていないのが現状である。つまり、ベンチはそれが置かれる場所や空間との関係として、理想的に設置させているとは言い難い。
本研究では、汎用性を有しながら、さらに空間の用途や使用者の目的にも特化して対応するベンチのデザインの可能性について検討し、具体的な設計案を提示することを目的とする。