修了生+卒業生>正垣司



卒業研究(作品) Ambiguous Border/見通せない空間を主題とした情報誌ペースの設計

設計趣旨
 本計画は、都市に点在するインターネット利用の為の空間設計である。無線LANシステムを利用し公衆にインターネット接続環境を提供する場所であるホットスポットが街の至る所に設置されると、将来的にどこでもインターネット利用が出来る。その際の場所選びにおけるきっかけの一つとして、公共空間の中でより私的になり得る場を提供することを目的としている。
 人は自分で場所を見つける場合、他者との距離がある程度保てる場所を選択する。このことより、人は公共空間においてもより私的性質を持った空間を求めると考え、公共性の中に私的な性質を加味できるならば、より快適な公共性を築けるのではないかと考えた。
 また、公的と私的という対称的な性質を物理的に仕切るのではなく、繋がった空間内を公的な場から私的な場へと緩やかに段階的に変化させることを目的としている。このことにより、公的な場において、個人が求める私的性質を持った場を設定できるのではないかと考えた。このような空間を提供するために、本計画では「見通せない空間」を主題として設定し、83パターン個人による場所設定が可能な空間の設計を行った。
 「見通せない」とは、建築内に立つとその空間の両端もしくは片端が見えないということである。この空間は、外部空間と物理的には遮られていないため、内部に立つと、外部との繋がりは感じられるが、人の視界には見た目に閉じられた室内が疑似的にできる。これを、私的性質をもつ空間と捉える。片端だけ見通せない場合も、外部との距離や位置関係により、私的性質をもつ空間が生まれると考える。 つまり、利用者は自らの意識の中で曖昧な境界線を引くことで私的な場を確保する事ができる。