修了生+卒業生>龍田一馬



卒業研究(作品) 地形と建築/段状構成を用いた美術館の設計

設計趣旨
 人は、自然と密接に関わり合いながら生活してきた。伝統的な日本建築は、内外空間を曖昧な分節方法を用いて、自然と建築を等価に扱ってきた。しかし現在、日本の多くの建築は自然から切り離して必要な空間を得るという作業の結果完成したもののように思える。このような建築では、自然は見るための対象物でしかなく、建築は自然と積極的に関わろうとはしない。建築と、自然という周辺環境の間に明確な線引きをして新たな空間を作っていることになる。これにより、自然と建築との景観が損なわれ、またそこで生活する人々と自然環境の関わり合い方も薄くなっていく。自然とうまく関わり合い、豊かな生活を送るには、自然の恩恵を受け、自然の下で生活していることを自覚すべきである。  原始時代、人々は洞穴を掘りそこを住居とした。自然が生んだ地形に住んでいたのである。ここでは、住居の内部から外部の自然環境を視覚的に感じることができ、また住居自体も自然環境の一部であると感じることができる。  本計画では、建築と自然を一体として扱った空間を計画することを主題とする。そのため、建築を地形として扱うというデザイン手法を用いる。