設計趣旨
明治以降、近代国家の第一歩を踏み出した日本は、内閣制度の導入、鉄道の開業、郵便制度の施行などの技術革新と産業化の推進、義務教育の導入など、明治以降の近代化に向けた取り組みは多岐にわたる。また、若者や女性が活躍し、さらに日本の良さや伝統を生かした技術や文化も多く生み出された。京都においては、明治維新で都の地位を失い、大きな危機に直面していたが、番組小学校の創設、琵琶湖疏水の建設、水力発電所の営業、電車事業の開始などといった先進的な取り組みが今日の京都の発展の礎を築いた。しかし時間の経過によって、人々の記憶からは薄れていく傾向にある。そこで京都市では平成30年を明治150年の節目として明治以降の京都の歩みを再確認し、未来を展望する計画として「明治150年・京都のキセキ・プロジェクト」が実施された。このような背景を踏まえ、本研究では、琵琶湖疏水、浄水場、水力発電所、市電など、京都市の近代化を推し進めたインフラストラクチュアに着目し、主として明治以降の150年間の映像資料や文献の収蔵・展示を行い、これからの京都のあり方を考える契機となるような博物館施設を構想し、具体的な計画案として提示することを目的とする。