中島薫・山川肇, 「中古住宅の性能表示と保証制度の課題」, 京都府立大学学術報告 人間環境学・農学,59, 2007,pp.11−19
【要旨】 本稿では、建設系廃棄物の発生抑制の観点から、中古住宅利用の活性化を目的として、既存住宅性能表示や既存住宅保証制度の普及阻害要因について検討した。その結果、(1)現在、既存住宅には質の低い物件が多く、住宅性能表示や保証制度が中古住宅市場を活性化する前提条件が満たされていない、(2)制度利用の中心となる買い主に制度の情報が知られておらず、また一般に資産保全意識が乏しいため、積極的に情報を求め、費用負担して利用しようとする状況にない、(3)買い主に情報が伝わらない理由の1つは不動産業者が制度利用に消極的であることが考えられ、これはこの制度が不動産業者にとってコストが大きく、メリットが薄いためと考えられる、(4)また目視で確認できない部分の評価が低い、法改正に伴い性能評価レベルが変化する、提供される情報・サービスが買い主の求めているものと必ずしも一致せず、またわかりにくい等の課題がある、などの知見を得た。