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【書誌事項】
山川肇,「ごみ有料化の開始時期についての一考察」,都市清掃,No.274,2006,pp.550−558
【要旨】
本稿では、明治期以降におけるごみ有料化の開始時期について、文献および過去の調査資料に基づき検討した。当然のことながら、何を有料化に含めるかにより、開始時期は異なる。ここではその意味を5つに分けて、それぞれの開始時期を検討した結果、以下の諸点を明らかにした。
- 定義1)ごみ収集の料金を徴収する、という意味の有料化は、少なくとも東京、京都では汚物掃除法以前に行われていた。また汚物掃除法制定後の市においても、人口密度の低い地域などについては市が収集しないことが認められており、そうした地域では業者収集が行われている可能性があった。従ってこの意味の有料化については、明治当初から継続的に存在していた可能性があると考えられた。
- 定義2)市がごみ収集の手数料を徴収する、という意味の有料化は、汚物掃除法制定以前の1875年から1882年に、市制導入前の京都市域で行われていたが、汚物掃除法制定後の制度としては、1914年以前から東京市が行っていた広い土地を有するものなどを対象とした受託手数料徴収制度が、今回確認できた事例の中で最も古かった。
- 定義3)市が家庭ごみ収集の手数料を徴収する、という意味の有料化についても、汚物掃除法制定以前を含めれば、上記の1875年実施の京都市域の事例があるが、汚物掃除法制定後としては、1942年の名古屋市の事例が確認できた最初のものであった。そのほか、立川市が戦中に導入していた可能性もあるが、それ以外の事例が見当たらず、戦中にはあまり普及しなかったのではないかと考えられた。戦後の事例としては、1946年の岐阜市、札幌市の事例が確認できた最初のものであった。
- 定義4)市が家庭ごみ収集の手数料を従量制で徴収する、という意味の有料化としては、1944年の名古屋市の例が、今回確認できた事例の中で最初のものであった。なお、相対的に少ないものの、戦後の事例の中でも早い時期から従量制と考えられる市が見られた。
- 定義5) 市が有料指定袋制で手数料を徴収する、という意味の有料化としては、1967年に施行されている千葉県成田市と長崎県諫早市の例が、今回確認できた事例の中で最初のものであった。
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