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知的障害者を抱える家庭の住まいや住み方の工夫

あそび・いたずらなどで困っていたことと、家族の手による工夫

    
トイレでの水遊びに関して困っていた(2)
 ※「郵送アンケート」で、ご家族の方からよせられた工夫を紹介します
困っていたこと
わが家の息子は、自宅のトイレの水を何度も流すなどの水遊びをよくしています。その際、後日、目につきやすい場所(トイレの窓枠など)に置いてある物(灰皿・予備のトイレットペーパーなど)を手にとって、便器に流すということがよくあり、困っていました。
  
工夫の内容と効果について
そこで、わが家では、トイレの窓枠などの目につきやすい場所に、水遊びのついでに流してしまいそうな物を置かないように工夫しました。
    
※ご家族のコメント「トイレの中にほる物がなくなったので、簡単に物をほらさないようにできました」

  
トイレでの水遊びに関して困っていた(1)
 ※「郵送アンケート」で、ご家族の方からよせられた工夫を紹介します
困っていたこと
わが家の息子は、トイレで一人にすると、便器の中に手をつっこんだりして遊ぶということがあり、困っていました。
  
工夫の内容と効果について
そこで、わが家では、トイレのドアベルを取り付けました(工夫)。そのベルが鳴ると、トイレに入ったことが分かりますので、家族が様子を見に行くことにしました。その結果、息子が、上記のような遊びを始めると、すぐにその場で「そんなことをしたらダメだよ」と注意することもできるようになりました。

  
家の中で物を投げることに関して困っていた(2)
 ※「郵送アンケート」で、ご家族の方からよせられた工夫を紹介します
困っていたこと
わが家の娘は、戸棚の中の物を取り出し、それを窓から庭に投げることがあり、困っていました。
  
工夫の内容と効果について
そこで、わが家では、戸棚の引き戸をロックし、娘が戸を開け、中の物を取り出さないようにしました(※右図参照)。

  
家の中で物を投げることに関して困っていた(1)
 ※「郵送アンケート」で、ご家族の方からよせられた工夫を紹介します
困っていたこと
わが家では、息子が、家の中で目についた物を投げることがあります。その投げた物(エアコンのリモコンなど)が壊れることがあり、困っていました。
   
工夫の内容と効果について
そこで、わが家では、息子が投げそうな物を、目につきにくい場所(食器棚の引き出しの中)に入れておくことにしました。
  
※ご家族のコメント「引き出しの中を捜すという事まではしないので、ストップさす事ができました。大事な物はひきだしに入れると、絶対さわらないという事がわかったのは良かったです」

  
部屋の中を散らかすので困っていた
 ※「HPアンケート」で、ご家族の方からよせられた工夫を紹介します(ほぼ原文通り)
困っていたこと
自分でドアを開けて各部屋に入り、部屋の中を散らかしてしまう。大事な物を壊したり、紛失してしまう可能性がありました。
   
工夫の内容と効果について
ドアノブ自体を外してしまい、管理する(下図)。家族が使うときだけドアノブの穴にノブを挿して使う。借家なので改造などが出来ずに困っていましたが、外すだけなら後からまた付けられるし、なかなかお勧めです。押入れなどのスライドドアの場合、ベビーの安全グッズにそれ専用のストッパーが売っているのでそれを使用しています。


ドアノブを外した状態
注)ドライバーで簡単に外せます


ドアノブを取り付けた状態
      
◆包丁であそんでいることがあったので困っていた
困っていたこと
 両親が知らない間に、台所の流し台の棚を開け、包丁を出して遊ぶので、危ないから困っていた
   

工 夫 の 内 容
・棚の扉に鍵をして開けられないようにした
 →→鍵は近くのホームセンターで購入した
 
→→今では、何度か包丁で手を切ってから、「包丁で遊ぶと痛い」とわかったらしく、遊ばなくなった(母親談)

※上記の他には、次の写真のような工夫をしている家庭があった。

◆ビデオテープにイタズラするので困っていた
困っていたこと
 
ビデオラックからビデオテープを取り出し、そのテープで遊んで壊してしまうので、困っていた。


>>開き戸ロックの写真<<
工 夫 の 内 容
 
次のような工夫をしている家庭があった。
@ビデオラックにカーテンをかけて目隠しし、中のビデオテープが見えないようにした。
Aビデオラックの扉にロック(乳幼児用のいたずら防止グッズとして市販されているもの)を取り付けて、本人が開けられないようにした

◆扇風機などに指をつっこもうとするので困っていた
困っていたこと
^本人が、扇風機に指をつっこもうとすることで困っていた。
_本人が、ファンヒーターに指をつっこもうとすることで困っていた。
工 夫 の 内 容
^扇風機からクーラーに変えた。
_ファンヒーターに市販のストーブガードを取り付けた

◆屋内での飛び跳ねなどに関して困っていた
困っていたこと
^本人が家の中を飛び跳ねるため、階段下やリビングの床に穴が空いてしまった。
_本人がテレビの上に載ったときに、テレビ台からテレビと本人が一緒に落ちたことがあった。
`ベッドの上で、飛び跳ねるので、ベッドが壊れた
aよく転ぶので、転んだ拍子に机の角などで頭をぶつけてケガなどしないかと、家族は心配していた。
  
工 夫 の 内 容
^床を補強した(床板を二枚敷きにしたなど)
_テレビをホームラックの中に収めた。
`ベッドと布団の間に、板を敷いてベッドを補強した。
a机の角などにスポンジ(または市販のエッジガード)を貼り付けた。

◆浴室でおぼれる危険があった
困っていたこと
 
本人は、水遊びが好きで、家族が知らない間に浴室で遊んでいることがあった。浴室で、おぼれる危険があった。
  

工 夫 の 内 容
 
次のような工夫をしている家庭があった
@入浴時以外は、浴槽に水をためないようにしているケース
A浴室の外からカギをかけておいて、本人が浴室に入れないようにしているケース
B使用時以外は、水道のじゃ口を取り外しておくようにしているケース

◆シャワーの水遊びなどで水道代が高くついて困っていた
困っていたこと
 本人は、入浴の際にシャワーを1〜2時間出しっぱなしにする。それが一日に何回もあるので、水道代が月7万円以上かかってしまうことがあった。
  
工 夫 の 内 容
@水道の給水バルブを閉め、シャワーの給水量を調節した
A浴室にカギを設置(水遊びをして良いときと悪い時の区別をつけるため)

◆トイレの水を何度も流すので、水道代が高額になる
困っていたこと
 
本人は、トイレの水を何回も流し、その様子を眺めて楽しむ(一日に数回)→→水道代が高額になり困っていた。
  

工 夫 の 内 容
 
次のような工夫をしている家庭があった。
@トイレの水タンクにペットボトルを入れ(右図)、流水の際の水量を減らすための工夫を試みたケース。
 →→ただし、このケースでは、本人が流れる水量にこだわりをもっていたので、この工夫は失敗した
Aトイレにカギをかけ、本人が一人で使えなくしたケース

◆トイレがよく詰まることがあったので、困っていた
困っていたこと
 
トイレットペーパーを何重にも巻き取ってトイレに流す行為を度々おこなう。そのためトイレがよく詰まることがあり(月に数回)、家族は困っていた。
  
工 夫 の 内 容
 
古い和式便所(Sトラップ)を洋式便所(サイフォン式)に変更した際に、排水性能などが向上したため、トイレが詰まることが少なくなった(年に数回)


※なお、トイレに異物(鉛筆など)を詰まらせた場合に対処しやすい便器のタイプとその方法については、TOTOのホームページで詳しく紹介されています。
『楽&楽計画どっとこむ』http://www.toto-raku2plan.com/index.html


※上記の画像は、『楽&楽計画どっとこむ』からの転用です。

◆常に高いところに上る。転落の危険があるので絶えず見守りが必要
※植田瑞昌ほか:知的障害のある児・者に対する住環境整備について〜こだわりと環境に関する一事例〜、第17回リハ工学カンファレンス、p589〜592、2002年より
困っていたこと
 常に高いところに上る。転落の危険があるので絶えず見守りが必要。
  

工 夫 の 内 容
 
次のような工夫をしているケースがあった
^収納を天井まで使用できる壁面収納にするなどできるだけ高所をなくした
_落ちても危険性のない程度の高さの台(タンス)を畳の部屋に置いて、対象者の行動特性を活かすように配慮した

◆ベランダから物を投げるなど 
※植田瑞昌ほか:知的障害のある児・者に対する住宅改造の一考察〜不適応行動への配慮を行った一事例〜、第16回リハ工学カンファレンス、p189〜192、2001年より
  
困っていたこと
 
あるケースでは、次のようなことで困っていたそうである
^ベランダから物を投げる(日に数回)
_朝にベランダに出ると、通学の時間になってもベランダから動かない
`雨天でベランダに出て体調を崩すことがある
  
工 夫 の 内 容
 
実施された工夫は、次のとおりである
^窓からベランダに出られないように窓枠に柵を設置(ベランダへの出入りを制限するため)
_ベランダに出入りできるようにカギ付の開き戸を設置(開き戸の鍵穴は物がつめられないように配慮された商品である)
注)なお、上記の事例では、単に「本人がベランダに出られないようにする」ことで、この問題を解決しようとしたわけでなく、問題の背景(家の外で、思う存分に遊ぶことができないことによる欲求不満などが、上記のような行動となって現れていたこと)にも着目した対処策[ガイドヘルパー(外出支援)の導入など]があわせて実施されたことで効果があった、とのことである。
注)上記のように、「家族が困っていることを解消しつつ、本人の潜在的な生活のニーズに応えていこう」とする視点は、非常に重要であると考えられる。 そして、そのために多分野の専門家の連携による、ハードとソフトの両面からの総合的なサポートが求められている。

  
    

このホームページの作成者
京都府立大学福祉空間計画研究室
◇西尾 幸一郎(指導教授:水野弘之)
〒606-8522 京都市左京区下鴨半木町
E-MAIL nishio26@yahoo.co.jp(西尾宛)