京都府立大学 森林計画学研究室

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研究内容

【ICTを活用した森林計測技術による森林情報整備】

【立地環境に基づく森林の評価と管理方針の提案】

【広葉樹林化及び森林再生手法の検討】

【川上から川下までのサプラーチェーンの構築】

【地域・企業主体の森林管理方針作成手法の体系化】



【ICTを活用した森林計測技術による森林情報整備】
 林業分野でもICT技術の活用によるスマート化が推進されています。特に森林計測分野では
航空レーザ測量、地上レーザ測量などのレーザ測量技術、ドローンの活用による3Dモデル化
など、最先端の技術によって、林木の樹高、材積の推定などの手法が開発されつつあります。
森林計画学研究室では、これらのデータの解析手法だけでなく、得られた解析結果をいかに
森林管理に役立つように活用するか、を検討する研究を実施しています。
共同研究:株式会社パスコ(H26-R4)
「森林地域における三次元空間情報解析技術の適用研究」(H26.6-H29.9)
「森林地域等における三次元空間情報解析技術に関する高度化研究」(H29.10-R4.6)


                            【立地環境に基づく森林の評価と管理方針の提案】

 今ある人工林を今後どう管理するのかを考えるには、「どこが林業適地なのか」を評価するこ
とが重要になります。これには、まず「適地適木(てきちてきぼく)」、つまり立地環境がスギやヒ
ノキの生育に適しているのか、ということが重要になります。これは自然の立地環境と成長特性
の関係などから評価が必要になります。そして次に大事なのは「林業」ができるのかです。災害
等のリスクはないか、林業機械が導入できそうなのか、路網の作設は可能なのか、採算性は
合うのかなど、「防災」「施業方法」「経済性」など様々な観点から総合的に評価が必要になりま
す。

 森林計画学研究室では、これら様々な観点から森林を評価する手法を検討するとともに、実
際に森林管理の方針の決定にどのように繋げていくか、を検討しています。
受託研究:宮川森林組合(H23-H26)
「次世代に引き継ぐ森林づくり事業」
地域貢献型特別研究:精華町(R1-R2)
「精華町における森林ゾーニングと森林管理保全指針の作成:精華町森林管理保全指針に基づく森林資源量の把握とその利活用」


【広葉樹林化及び森林再生手法の検討】 
 人工林の林業不適地を広葉樹林や針広混交林に誘導することが考えられています。また、
広葉樹林においても、マツ枯れ・ナラ枯れによる上層木の欠如、シカの食害による下層植生の
衰退・更新阻害などにより荒廃が進んでおり、減災の観点からも再生が求められています。し
かし伐採して放置するだけでは、シカの食害もあり、非常に困難です。そのような中、どのよう
に広葉樹林を再生すればいいのか、植栽を含めた手法の検討が必要です。

 森林計画学研究室では、実際に人工林の群状間伐地において、遷移段階の異なる様々な
樹種を混交して植栽する手法を適用した場所や、マツ枯れ・ナラ枯れ被害林分において間伐
等を実施した植生回復の試験を行っています。


受託研究(宮川森林組合)(H28)
「広葉樹の事業適地判断に基づく新たな林業手法の検討」
科学研究費助成費基盤研究(C)(H26〜H28)
「シカの食害環境下にあるナラ枯れ被害林分の植生回復の可能性:京都三山における予測」 



                            【川上から川下までのサプラーチェーンの構築】



 国産材の利用促進のため,需要に応じた品質の原木供給が必要ですが、原木の取引
において、品質は経験的に「見た目」で評価され、製材品に求められる「強度」が原木取
引に利用されていないのが現状です。このため、「見た目」の材質を定量的に示し、原木を
適切に仕分けること、また原木段階での強度の提示することができれば、需用に応じた品
質の原木供給が可能となり、強度のある原木に付加価値をつけて、少しでも山元の収益
性をアップできる可能性があります。

 森林計画学研究室では、画像解析・機械学習によって「見た目」で経験的に把握されて
きた材質を定量的に把握し、これらの「見た目」の材質と強度の関係をもとに原木強度を
推定する研究を行っています。この研究は、強度を指標にした森林管理のあり方にもつな
がっていくと考えています。

科学研究費助成費基盤研究(C)(H31-H33)
「画像解析・機械学習による原木の「見た目」の材質の定量的把握と強度推定」


【地域・企業主体の森林管理方針作成手法の体系化】
 近年、SDGsの考え方の普及もあり、地域や企業で森林管理を実施する動きが見られています。ま
た、近年の林業従事者の減少やシカの食害激化による森林荒廃・生物多様性への危機は、もはや、
専門家レベルだけで対応ができないほど深刻になってきています。このため、これからの森林管理は
「地域や企業の力が鍵」になっていくと思われます。しかし、地域や企業がどのように森林管理方針を
策定していくのか、ノウハウをわかりやすく体系化されていません。

 森林計画学研究室では、地域や企業が主体的かつ継続的に森林管理が実施できるよう、森林管
理方針の策定手法やツールを地域や企業と議論しながら開発し、提案をしています。
共同研究:株式会社島津製作所(R3) 
「ICT技術による企業・住民による森林の管理手法の開発I:Smart Forest Management実践のための
プラットフォームの構築」

地域貢献型特別研究:田歌舎(R3)
「取り戻そう!!地域の里山植生: 地域でできる里山の植生回復とモニタリング手法の開発」