植物分子生物学研究室(椎名研)

椎名研にようこそ

 

葉緑体とミトコンドリアは,植物細胞のエネルギー生産オルガネラです。光合成と酸素呼吸の場として、植物にエネルギー(ATP)を供給しています。更に,葉緑体は脂質合成や主要なホルモン合成,二次代謝の場でもあり,様々な整理応答と関係しています。一方、葉緑体とミトコンドリアは独自のゲノムと遺伝子発現系を持つ半自律的なオルガネラでもあります。常に変化する環境下で、光合成や呼吸活性を最適化し,様々な代謝機能をコントロールし、さらに細胞核・葉緑体・ミトコンドリアそれぞれの遺伝子発現活性を同期させるために、オルガネラ間の密接なコミュニケーションが重要になります。私たちは、葉緑体とミトコンドリアを中心に、オルガネラ間コミュニケーションの分子機構の解明を目指して研究を進めています。下図に葉緑体の核様体に局在する転写制御因子pTAC3と(左)、葉緑体包膜に局在するサリチル酸輸送体EDS5(右)を示しています。

top_fig1

                

動かない植物は、動物のような敏感な感覚系を持たないと思われがちです。これは正しくありません。植物は刻々と変化する環境に適応し、草食動物(昆虫)や病原体の攻撃をかわすために、洗練された感覚系を有しています。では,植物はどのように環境情報を受容し処理しているのでしょうか?その結果,どの細胞機能が制御されているのでしょうか?これらの疑問に答えるために、私たちはCa2+シグナルに注目した研究を行っています。私たちのグループでは、細菌のフラジェリンや糸状菌のキチンなどの病原体(PAMP)シグナルを受容すると,数分内に細胞質ばかりでなく葉緑体内でCa2+濃度の一過的上昇が起こることを発見しました(下図)。細胞膜の受容体で受容された病原体シグナルが素早く葉緑体に伝達され、葉緑体内にCa2+シグナルを生じることを世界で初めて明らかにしました。

top_fig2

           
Copyright (C) All Rights Reserved.